― 長野県は3年連続上昇、軽井沢・白馬・野沢温泉の強さが鮮明に ―
令和8年7月1日、国税庁から令和8年分の相続税路線価が公表されました。
路線価とは、相続税や贈与税を計算する際に、土地の評価額を算定するための基準となる価格です。毎年1月1日時点の価格として公表され、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額として示されます。
一般的に、路線価は地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に設定されます。そのため、実際の売買価格そのものではありませんが、相続税・贈与税の評価、資産承継、相続対策、不動産の概況把握において重要な指標になります。
令和8年分の長野県の路線価を見ると、全体として上昇傾向が続いており、特に軽井沢町、白馬村、野沢温泉村といったリゾート地・観光地の強さが目立つ結果となりました。
1 長野県の標準宅地は3年連続で上昇
関東信越国税局が公表した長野県内の標準宅地の平均変動率は、継続地点4,818地点で前年比1.1%の上昇となりました。
前年は0.6%の上昇でしたので、上昇幅は拡大しています。長野県全体としては3年連続の上昇となり、地価の回復傾向が続いていることが分かります。
もっとも、県内全域が一律に上昇しているわけではありません。
長野市、松本市、軽井沢町、白馬村、野沢温泉村など、観光需要、移住需要、商業集積、交通利便性、再開発期待などを背景に上昇している地域がある一方で、人口減少や需要の弱い地域では、横ばい又は下落傾向にある地点もあります。
今回の路線価は、長野県内でも地域ごとの差がさらに明確になった結果といえます。
2 県内最高路線価は軽井沢町へ
今回、特に注目されたのは、県内の最高路線価です。
令和8年分の長野県内で最も路線価が高かったのは、佐久税務署管内の「軽井沢町軽井沢 旧軽井沢銀座通り」で、1㎡当たり32万円となりました。前年比では14.3%の上昇です。
これに続いたのが、長野税務署管内の「長野市南長野 長野駅前通り」で、1㎡当たり31万円、前年比5.1%の上昇でした。
これまで長野県内の最高路線価といえば、県庁所在地である長野市の長野駅前通りが中心でした。しかし、令和8年分では、軽井沢町の旧軽井沢銀座通りが長野駅前通りを上回りました。
記録の残る平成元年以降、軽井沢町の地点が長野市の地点を上回ったのは初めてとされています。
これは、軽井沢の不動産市場が、単なる県内の一観光地ではなく、首都圏富裕層やインバウンド需要、別荘・リゾート需要を取り込む全国的な高価格市場になっていることを示していると考えられます。
3 旧軽井沢銀座通りの上昇要因
旧軽井沢銀座通りは、軽井沢を代表する観光商業地です。
観光客の回遊性が高く、土産物店、飲食店、カフェ、ベーカリー、物販店などが集積しており、軽井沢らしい商業地としてのブランド力を有しています。
近年の軽井沢は、避暑地・別荘地としての伝統的な需要に加えて、首都圏からの二地域居住、富裕層の別荘需要、リゾートマンション需要、観光・飲食需要、インバウンド需要などが複合的に重なっています。
また、北陸新幹線による首都圏からのアクセスの良さも大きな強みです。東京から新幹線でアクセスしやすく、週末利用や長期滞在がしやすいことから、軽井沢の不動産需要は長野県内の一般的な地方都市とは異なる動きを示しています。
旧軽井沢銀座通りの路線価上昇は、こうした観光商業地としての希少性、ブランド力、収益性への期待が反映されたものといえます。
4 長野駅前通りも堅調に上昇
一方、長野市南長野の長野駅前通りも、1㎡当たり31万円、前年比5.1%上昇と堅調です。
長野駅前は、長野県の県庁所在地の中心商業地であり、業務、商業、宿泊、飲食、行政機能が集積するエリアです。
長野駅は北陸新幹線、信越本線、しなの鉄道、長野電鉄などの交通結節点であり、県内外からの人の流れが集まりやすい場所です。
軽井沢に県内最高路線価の座を譲ったとはいえ、長野駅前通りの路線価も上昇しており、県都の中心商業地としての地位が弱くなったわけではありません。
むしろ、長野市は行政・業務・生活・商業の中心地として安定した需要を有し、軽井沢は観光・リゾート・富裕層需要を背景に強く上昇している、と見るべきだと思います。
同じ長野県内の上昇でも、長野市と軽井沢町では需要の性質が異なります。
5 白馬村は3年連続で全国上昇率1位
令和8年分路線価で最も大きな注目を集めたのが、白馬村です。
大町税務署管内の「白馬村北城 村道和田野線」は、前年比32.7%の上昇となり、3年連続で全国1位の上昇率となりました。路線価は1㎡当たり6万5,000円です。
白馬村は、北アルプスの山岳景観とスキー場を有する国際的なリゾート地です。冬季のスキー・スノーボード需要に加え、夏季の登山、アウトドア、長期滞在需要もあります。
近年は、外国人観光客や海外資本の関心も高く、宿泊施設、飲食店、別荘、コンドミニアム、開発用地への需要が強まっています。
白馬村の地価上昇は、単に観光客が増えているというだけでなく、世界的なスノーリゾートとしての評価、開発期待、宿泊・滞在需要、投資需要が重なっていることが背景にあると考えられます。
ただし、上昇率が高い一方で、路線価の絶対水準は軽井沢や長野駅前に比べるとまだ低い水準です。これは、これまでの価格水準が相対的に低かったところに、急速な需要が入り、上昇率が大きく出ている面もあります。
6 野沢温泉村は33年ぶりに上昇、全国2位の上昇率
今回もう一つ注目されたのが、野沢温泉村です。
信濃中野税務署管内では、最高地点が「野沢温泉村豊郷 大湯通り」となり、1㎡当たり4万2,000円、前年比31.3%の上昇となりました。
野沢温泉村は、温泉街とスキー場が一体となった観光地です。冬季のスキー需要に加え、温泉、外湯、街歩き、宿泊、飲食などの観光資源を有しており、国内外の観光客から人気があります。
令和8年分では、野沢温泉村の地点が33年ぶりに上昇したとされ、しかも全国2位の上昇率となりました。
これは、白馬村と同様に、インバウンド需要、スノーリゾート需要、宿泊施設・飲食店需要、観光地としての再評価が路線価に反映され始めた結果といえます。
ただし、野沢温泉村も、白馬村と同じく地域の特性が非常に強い市場です。観光需要に支えられる一方で、季節変動、宿泊施設の稼働率、人手不足、建築費上昇、開発規制、既存温泉街の景観との調和など、注意すべき要素も多くあります。
7 県内10税務署管内の動き
長野県内10税務署管内の最高路線価を見ると、上昇が5地点、横ばいが3地点、下落が2地点となっています。
この結果から、長野県内の地価は全体として上昇傾向にあるものの、上昇している地域とそうでない地域の差があることが分かります。
軽井沢、白馬、野沢温泉のようなリゾート地・観光地は強い上昇を示しています。一方で、人口減少や商業集積の弱まりが見られる地域では、横ばい又は下落となる地点もあります。
路線価の見方として重要なのは、県全体の平均だけを見るのではなく、地域ごとの需要の中身を見ることです。
上昇している地域では、観光需要、富裕層需要、インバウンド、開発期待、住宅需要、商業需要など、何が価格を押し上げているのかを確認する必要があります。
反対に、下落している地域では、人口減少、空き店舗、中心市街地の衰退、郊外大型店への顧客流出、交通利便性の低下など、価格を押し下げる要因を確認する必要があります。
8 路線価上昇は相続税にも影響する
路線価は、相続税や贈与税の土地評価に使われます。
したがって、路線価が上昇すると、同じ土地を所有していても、相続税評価額が上がる可能性があります。
たとえば、路線価が1㎡当たり20万円から25万円に上昇した場合、200㎡の土地であれば、単純計算で次のようになります。
20万円 × 200㎡ = 4,000万円
25万円 × 200㎡ = 5,000万円
この場合、土地の評価額は1,000万円上昇します。
実際には、奥行価格補正、不整形地補正、間口狭小補正、二方路線影響加算、借地権割合、貸家建付地評価、小規模宅地等の特例などにより評価額は変わりますが、路線価の上昇は相続税評価額に直接影響する重要な要素です。
特に軽井沢町、白馬村、野沢温泉村のように路線価が大きく上昇している地域では、これまで相続税の心配が少ないと思っていた土地でも、評価額が上がる可能性があります。
別荘地、観光地、商業地、宿泊施設用地を所有している方は、最新の路線価を確認しておくことが大切です。
9 相続対策では路線価だけでなく市場性も見る
相続税の評価では路線価が重要ですが、不動産の実際の価値を考える場合には、路線価だけでは不十分です。
たとえば、同じ路線価の土地であっても、形状が良い土地と悪い土地、道路付けが良い土地と悪い土地、傾斜がある土地と平坦な土地、建築しやすい土地と造成費がかかる土地では、市場での評価は異なります。
また、リゾート地では、眺望、道路の除雪状況、上下水道、管理別荘地かどうか、建築規制、自然保護、景観、隣接地の利用状況なども重要です。
商業地では、歩行者通行量、観光客の回遊性、店舗としての視認性、駐車場の有無、テナント需要、収益性などが価格に影響します。
相続対策では、相続税評価額を把握するだけでなく、その不動産が将来売れるのか、誰が使うのか、維持管理費はいくらかかるのか、相続人が共有して問題にならないか、といった実務的な視点も重要です。
10 軽井沢・白馬・野沢温泉の不動産を所有する方の注意点
今回の令和8年分路線価では、軽井沢、白馬、野沢温泉の強さが非常に目立ちました。
これらの地域に土地や建物を所有している方は、相続税評価額が上昇している可能性があります。
特に、次のような方は注意が必要です。
軽井沢町内に別荘地や商業地を所有している方。
旧軽井沢、中軽井沢、南ヶ丘、南原、千ヶ滝、追分などに土地を所有している方。
白馬村内に土地、宿泊施設、店舗、別荘、開発用地を所有している方。
野沢温泉村内に旅館、民宿、店舗、住宅、土地を所有している方。
長野県外に住んでいて、長野県内の不動産を相続する可能性がある方。
地価が上昇している地域では、相続発生時に思った以上の評価額になることがあります。
一方で、相続税評価額は上がっていても、実際に売却できる価格や売却までの期間は、個別の不動産によって大きく異なります。
そのため、相続対策としては、早めに不動産の概算評価を確認し、納税資金、売却可能性、共有回避、遺言書の作成などを検討しておくことが大切です。
11 令和8年路線価から見る長野県不動産市場
令和8年分の路線価から見える長野県不動産市場の特徴は、次の三つだと思います。
第一に、長野県全体としては緩やかな上昇基調にあることです。標準宅地の平均変動率は3年連続で上昇し、前年よりも上昇幅が拡大しました。
第二に、観光・リゾート地の上昇が目立つことです。軽井沢町は県内最高路線価となり、白馬村は3年連続で全国上昇率1位、野沢温泉村は全国2位の上昇率となりました。
第三に、地域差が大きいことです。県内10税務署管内の最高路線価では、上昇、横ばい、下落が混在しており、長野県内でも不動産市場の二極化が進んでいるといえます。
今後も、長野県内の不動産市場では、観光地、駅前商業地、住宅需要の強い地域、工業・物流需要のある地域では堅調な動きが続く可能性があります。
一方で、人口減少が進む地域、商業集積が弱い地域、空き家・空き店舗が増えている地域では、引き続き慎重な見方が必要です。
12 まとめ
令和8年分の相続税路線価では、長野県の標準宅地平均変動率が1.1%上昇し、3年連続で上昇しました。
県内最高路線価は、軽井沢町軽井沢の旧軽井沢銀座通りで1㎡当たり32万円となり、長野市南長野の長野駅前通りを上回りました。軽井沢町の地点が県内最高となったことは、長野県内の不動産市場におけるリゾート地需要の強さを象徴する出来事といえます。
また、白馬村北城の村道和田野線は前年比32.7%上昇し、3年連続で全国1位の上昇率となりました。野沢温泉村豊郷の大湯通りも31.3%上昇し、全国2位の上昇率となりました。
これらの結果から、令和8年分路線価では、軽井沢、白馬、野沢温泉といった長野県内のリゾート地・観光地の強さがはっきり表れたといえます。
一方で、路線価は相続税・贈与税の評価に使われる基準であり、実際の売買価格そのものではありません。また、同じ地域内でも、道路付け、形状、地勢、建築規制、利用状況、収益性、管理状態によって不動産の価値は大きく異なります。
相続税評価額の確認だけでなく、実際に売却できる価格、納税資金、相続人間での分割、将来の維持管理まで含めて考えることが大切です。
あおぎり不動産鑑定では、長野県内の土地、建物、別荘地、商業地、収益物件について、不動産鑑定評価、価格調査、相続対策、売却相談、物件調査等に対応しています。
令和8年分路線価の公表をきっかけに、ご所有不動産の相続税評価や市場価値を確認したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
-幹線道路沿いの出店と生活利便型店舗の競合関係 –
千曲市は、長野県北信地域に位置し、県庁所在地である長野市の南側に接する都市です。長野市中心部への通勤圏としての性格を持つ一方、善光寺平の南部に位置し、戸倉上山田温泉などの観光資源も有しています。
近年、千曲市内では幹線道路沿いを中心に、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストア、飲食店などの生活利便型店舗が集積しており、日常的な買い回り需要をめぐる競争が見られます。
今回は、食品スーパーを中心とする小売業の動向と、千曲市における店舗立地の特徴について整理してみます。
1 食品スーパーは生活必需型の業態である
食品スーパーは、日常生活に欠かせない食料品を取り扱う業態であり、一定の底堅い需要が見込まれる業種です。
景気の変動によって高額品の購入が控えられることはあっても、食料品や日用品の需要が大きく消えることはありません。そのため、食品スーパーは小売業の中でも比較的安定した需要を有する業態といえます。
一方で、近年の食品スーパー業界は必ずしも楽な経営環境ではありません。原材料価格、物流費、人件費、光熱費等の上昇により、店舗運営コストは上がっています。また、ドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニエンスストアなども食品の取り扱いを拡大しており、食品スーパーとの競合関係は強まっています。
特に地方都市では、商圏人口が限られる中で複数の小売店舗が競合するため、店舗ごとの集客力、品揃え、価格競争力、駐車場の広さ、アクセスのしやすさが重要になります。
2 全国的にはショッピングセンター市場は回復基調
全国のショッピングセンター市場を見ると、近年は回復基調が見られます。資料では、日本ショッピングセンター協会のSC販売統計調査報告を引用し、2025年の既存SC売上高伸長率が全体で前年比プラスとなり、2021年以降、5年連続で前年を上回ったと整理されています。
売上増加の要因としては、販促施策、館内・近隣イベントの増加、テナント入れ替え、改装効果などが挙げられています。
ただし、地方都市のショッピングセンターや郊外型小売店舗については、全国的な回復傾向をそのまま当てはめることはできません。地域ごとに人口動態、商圏規模、競合店舗の状況、車利用のしやすさ、周辺住宅地の成熟度などが異なるためです。
特に長野県内の地方都市では、幹線道路沿いに自動車利用を前提とした店舗が多く、食品スーパー、ドラッグストア、ロードサイド型飲食店、コンビニエンスストアが近接して立地することが多く見られます。
そのため、個別の店舗評価においては、単に「小売業は堅調」「食品スーパーは生活必需型で安定している」という一般論だけでなく、商圏人口、競合店舗、駐車場、視認性、道路アクセスを具体的に見る必要があります。
3 長野県内の大型小売店売上高の動向
資料によると、長野県内の大型小売店売上高については、令和8年4月時点で、総売上高が前年同月比プラス0.6%となっています。食料品については、販売価格の上昇などを背景に前年同月比プラス0.7%となっており、比較的堅調な推移が確認されています。
一方、衣料品は前年同月比マイナスとなっており、小売業の中でも業種によって動向に差があることが分かります。
この点からも、食品スーパーを中心とする食料品小売業は、生活必需品を取り扱うという性格から一定の需要を維持しやすい一方、物価上昇、人件費上昇、競合激化の影響を受けやすい業態であるといえます。
売上高が増加している場合でも、それが販売数量の増加によるものなのか、価格上昇によるものなのかは慎重に見る必要があります。売上が増えていても、利益率が低下している場合や、光熱費・人件費・物流費の上昇によって収益性が悪化している場合もあります。
したがって、食品スーパーの不動産を評価する場合には、売上高だけでなく、店舗の立地競争力、商圏内でのポジション、建物の老朽化、駐車場の使いやすさ、将来的なテナント需要も確認する必要があります。
4 千曲市の飲食料品小売業の規模
資料では、経済センサス活動調査に基づき、千曲市、長野市、上田市、須坂市、中野市、坂城町について、産業分類「58 飲食料品小売業」の事業所数、従業者数、年間商品販売額、売場面積などが比較されています。
千曲市の飲食料品小売業は、事業所数422、従業者数3,014人、年間商品販売額50,421百万円、売場面積76,102㎡とされています。
比較対象の中では、長野市が事業所数2,896、年間商品販売額444,806百万円と圧倒的に大きく、上田市も年間商品販売額167,033百万円と規模が大きいです。これに対し、千曲市は長野市・上田市ほどの市場規模ではありませんが、中野市や須坂市と近い水準にあり、一定の食品小売市場を形成しているといえます。
また、千曲市の1事業所当たり販売額は119百万円、従業者1人当たり販売額は17百万円、売場1㎡当たり販売額は0.66百万円と整理されています。
この数字から見ると、千曲市は長野市ほどの大規模市場ではないものの、日常生活に必要な食品小売需要が一定程度存在しており、周辺住民の買い回り需要を支える地域市場が形成されていると考えられます。
5 千曲市は長野市への通勤圏であり、ベッドタウン性を有する
千曲市の小売店舗を考えるうえで重要なのは、同市が長野市の南側に位置し、長野市中心部への通勤圏にあるという点です。
資料でも、千曲市は長野市中心部への通勤圏であり、業務・観光両面の需要が比較的堅調であることから、周辺市町村を含めた広域的な生活・就業圏を形成していると整理されています。
また、千曲市新田、鋳物師屋、寂蒔周辺などでは、近年、分譲住宅地の開発が進み、住宅地としての熟成が進んでいるとされています。こうした住宅地の拡大や居住人口の増加は、食品スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどの日常生活関連サービスの需要を支える要因になります。
食品スーパーは、地域住民の日常的な買い回り需要を基礎としながら、幹線道路を通行する車利用者の立ち寄り需要も取り込む業態です。そのため、周辺住宅地の人口、幹線道路の交通量、店舗への入りやすさ、駐車場の広さ、視認性が競争力に大きく影響します。
6 千曲市内では幹線道路沿いの競合が重要
千曲市内では、国道18号線、県道403号線、市道1-211号線などの幹線道路沿いに小売店舗が集積しています。
資料では、対象エリア周辺において、既に複数の食品スーパーや生活利便型店舗が立地しており、商圏内における顧客獲得競争が一定程度認められると整理されています。
主な競合店舗としては、食品スーパー、スーパーセンター、ドラッグストア、コンビニエンスストアが挙げられています。食品スーパー同士の競合だけでなく、ドラッグストアやコンビニも、日常的な食品・日用品需要の一部を取り込んでいる点に注意が必要です。
特に近年のドラッグストアは、医薬品だけでなく、食品、飲料、日用品、冷凍食品などの取り扱いを拡大しており、食品スーパーに対する補完的競合、場合によっては直接的競合として機能することがあります。
コンビニエンスストアも、弁当、惣菜、飲料、冷凍食品、日用品などを取り扱っており、特に単身者、高齢者、短時間で買い物を済ませたい需要者にとっては、食品スーパーの代替となる場面があります。
このように、千曲市内の食品スーパー市場を考える場合には、同業スーパーだけではなく、ドラッグストアやコンビニを含めた生活利便型店舗全体の競合状況を見る必要があります。
7 競合店舗を見るポイント
食品スーパーの競争力を考えるうえで、重要なポイントは次のとおりです。
まず、幹線道路への接近性です。車利用が中心となる地方都市では、店舗がどの道路に面しているか、右折入庫しやすいか、交通量があるか、道路から見つけやすいかが重要です。
次に、駐車場です。食品スーパーでは、まとめ買い需要が多いため、駐車場の広さ、停めやすさ、出入りのしやすさが大きな競争力になります。駐車場が狭い、出入口が分かりにくい、交通量の多い道路に面していて出入りしにくい場合には、顧客が競合店に流れる可能性があります。
第三に、店舗の規模と品揃えです。広い売場面積を持つ店舗は、食品、惣菜、日用品などをまとめて購入できるため、集客力を持ちやすいです。一方、小規模店舗でも、近隣高齢者や徒歩圏需要を取り込める場合があります。
第四に、商圏内の住宅地との関係です。周辺に分譲住宅地や集合住宅が多い場合、日常的な買い物需要が期待できます。特に高齢者が多い地域では、近距離で買い物できる店舗に一定の需要が残る可能性があります。
第五に、ブランド力です。地域で認知度の高い食品スーパーや、価格競争力・品揃えに強みのある店舗は、多少距離があっても顧客を引きつけることがあります。
8 千曲市の食品スーパー市場は「一定の需要」と「競争激化」が併存する
千曲市の食品スーパー市場は、生活必需品を扱うため一定の需要が見込まれる一方、競争は決して弱くありません。
資料上も、対象エリア周辺には食品スーパー、スーパーセンター、ドラッグストア、コンビニが複数立地しており、競合度の高い店舗も見られます。
千曲市は長野市のベッドタウン的性格を有し、住宅地の開発も進んでいることから、日常生活需要は一定程度見込まれます。しかし、消費者は車で複数の店舗を比較しながら買い物をすることができるため、店舗の立地や品揃え、価格、駐車場、ブランド力によって顧客が動きやすい市場でもあります。
特に大型食品スーパーやスーパーセンターは、広い駐車場、豊富な品揃え、価格競争力を武器に、広域から顧客を集めることができます。その一方で、近隣密着型の小型店舗は、高齢者や徒歩・自転車利用者、短時間買い物需要を取り込むことで、一定の存在意義を持つことがあります。
つまり、千曲市の食品スーパー市場は、一律に「強い」「弱い」と評価するのではなく、店舗ごとの商圏、立地、規模、駐車場、競合関係を個別に見る必要があります。
9 不動産として見る食品スーパーの評価ポイント
食品スーパーを不動産として見る場合、単に営業しているかどうかだけでは不十分です。
評価上は、次のような点が重要になります。
周辺人口と世帯数
幹線道路からの視認性
駐車場の規模と出入りのしやすさ
競合店舗との距離
食品スーパーとしての売場面積
建物の築年数と老朽化
荷捌きスペースの有無
冷蔵・冷凍設備への対応
将来的な改装・転用可能性
テナント撤退時の再利用可能性
特に食品スーパーは、建物の用途がやや特殊です。売場、バックヤード、冷蔵・冷凍設備、荷捌きスペース、駐車場、看板、搬入口など、一般的な小売店舗とは異なる設備や配置が必要になります。
そのため、仮に現テナントが退去した場合、同じ食品スーパーとして再利用できるのか、ドラッグストアや物販店舗に転用できるのか、あるいは大規模な改修が必要になるのかを検討する必要があります。
商圏内で食品スーパー需要が一定程度あっても、建物が老朽化している、駐車場が狭い、出入口が悪い、競合店に比べて視認性が劣るといった場合には、不動産としての競争力は弱くなります。
10 まとめ
千曲市は、長野市の南側に位置し、長野市への通勤圏、観光地へのアクセス、住宅地の拡大などを背景に、一定の生活利便需要を有する地域です。
市内では、国道18号線、県道403号線、市道1-211号線などの幹線道路沿いに、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストア、飲食店などが集積しており、日常生活関連サービスの立地が進んでいます。
食品スーパーは、生活必需品を取り扱うため一定の需要が見込まれる一方、近年はドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニエンスストアとの競合も強まっています。千曲市内でも、複数の食品スーパーや生活利便型店舗が存在しており、商圏内での顧客獲得競争は一定程度認められます。
不動産として食品スーパーを評価する場合には、単に「スーパーだから安定している」と見るのではなく、商圏人口、競合店舗、道路アクセス、駐車場、視認性、建物の老朽化、改装の必要性、テナント代替可能性などを総合的に確認することが重要です。
あおぎり不動産鑑定では、千曲市をはじめとする長野県内の商業施設、食品スーパー、ロードサイド店舗、投資用不動産について、不動産鑑定評価、価格調査、物件調査、法務局調査、役所調査、現地確認等に対応しています。
食品スーパーや商業施設の売買、相続、担保評価、投資判断、賃料査定などでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
― 駅距離だけでは説明できない、高価格帯リゾートマンション市場 ―
軽井沢町は、長野県内でも特殊性の強い中古マンション市場を形成しているエリアです。
一般的な地方都市の中古マンション市場では、駅から近いほど利便性が高く、駅から遠くなるほど㎡単価が低下する傾向が見られます。しかし、軽井沢町の場合は、必ずしもそのような単純な関係にはなっていません。
今回、北佐久郡軽井沢町における中古マンションの取引データをもとに、価格帯、築年数、駅距離、住戸面積帯などの観点から市場の特徴を整理しました。
1 軽井沢の中古マンション市場は価格水準が非常に高い
まず目を引くのは、軽井沢町の中古マンション価格水準の高さです。
価格帯別の取引件数を見ると、1億円から2億円未満の取引が30件確認されており、さらに2億円以上の取引も3件確認されています。地方都市の中古マンション市場としては、かなり高額な取引が成立していることが分かります。
一般的な長野県内の中古マンション市場では、2,000万円台から3,000万円台が中心価格帯となる都市も多いですが、軽井沢では5,000万円、8,000万円、1億円を超える中古マンション取引が珍しくありません。
特に驚いたのは、2億円以上の中古マンション取引履歴が確認できる点です。これは、軽井沢のマンション市場が単なる地方都市の住宅市場ではなく、首都圏富裕層やセカンドハウス需要、リゾート需要を含んだ高価格帯市場であることを示しています。

2 ファミリー向けだけでなく、単身・カップル向けも取引される
軽井沢町の中古マンション市場では、ファミリー向け住戸だけでなく、単身向け、カップル向けの住戸も取引されています。
価格帯別のグラフを見ると、55㎡超のファミリータイプが多くを占める一方で、35㎡以下の単身向け、55㎡以下のカップル向けの取引も一定数確認できます。
これは、軽井沢のマンション需要が幅広いことを示しています。
たとえば、ファミリータイプは、長期滞在や二地域居住、セカンドハウス利用に適しています。一方、単身向けやカップル向けは、週末利用、避暑利用、投資目的、あるいは軽井沢に拠点を持ちたい需要者にとって検討しやすいタイプです。
一般的な地方都市では、単身向け中古マンションの市場が限定的なこともありますが、軽井沢ではリゾート地としての特殊性があるため、比較的小規模な住戸にも需要があると考えられます。
この点から、軽井沢の中古マンション市場は、住戸タイプの面でも流動性が比較的高い市場といえます。
3 築10年以内では㎡単価200万円前後の取引も見られる
築年数と㎡単価の関係を見ると、築10年以内の中古マンションでは、㎡単価が非常に高い水準で取引されている事例が確認できます。
グラフ上では、築10年以内の物件について、㎡単価100万円台前半から200万円前後の取引が見られます。特に築浅物件では、㎡単価150万円を超える事例や、200万円/㎡前後の事例も確認できます。
仮に、ファミリータイプで専有面積80㎡の住戸が、㎡単価200万円で取引された場合、
80㎡ × 200万円/㎡ = 1億6,000万円
となります。
中古マンションで1億6,000万円という価格は、長野県内の一般的な中古マンション市場と比較するとかなり高額です。価格水準だけを見ると、都内の一部エリアと比較しても違和感のない水準です。
このような取引が成立している背景には、軽井沢ブランド、希少性、築浅マンションの供給の少なさ、首都圏からのアクセス、リゾート地としての魅力、富裕層需要などがあると考えられます。
軽井沢では、単に「中古マンションだから新築より安い」という見方は当てはまりにくく、築浅・好立地・高グレードの物件であれば、新築に近い、あるいはそれ以上に評価されることもある市場といえます。
4 築10年未満で100万円/㎡なら割安感がある可能性
築10年以内の取引水準を見ると、㎡単価100万円/㎡を超える事例は多く、条件の良い物件では150万円/㎡から200万円/㎡前後の水準も見られます。
そのため、築10年未満で、管理状態や立地条件に大きな問題がなく、㎡単価100万円/㎡程度であれば、軽井沢町内の中古マンション市場では相対的に割安感がある可能性があります。
もちろん、実際には個別確認が必要です。
同じ築10年未満であっても、駅距離、所在エリア、管理状態、眺望、階数、専有面積、駐車場、共用施設、管理費・修繕積立金の水準、リゾート利用に適した設備かどうかによって、価格の妥当性は変わります。
それでも、軽井沢の築浅中古マンション市場では、100万円/㎡という水準は決して極端に高いとはいえず、むしろ条件次第では検討余地のある価格帯と考えられます。
5 築20年程度では70万円から80万円/㎡が一つの目安か
築20年以内の物件を見ると、築10年以内ほどの高単価ではないものの、㎡単価70万円から80万円程度、あるいはそれ以上の取引が確認できます。
築20年程度になると、建物の築年数による減価は意識されますが、軽井沢の場合、築年数だけで価格が大きく下がるとは限りません。
特に、管理状態が良く、リゾートマンションとしての雰囲気や共用施設、眺望、周辺環境に優れている物件では、築20年前後でも高い価格水準を維持することがあります。
一般的な地方都市では、築20年を超えると価格が大きく下がるケースもあります。しかし、軽井沢では、建物そのものの築年数に加えて、「軽井沢らしい立地か」「別荘・リゾート利用に向くか」「将来も需要が見込めるか」が重要になります。
そのため、築20年程度で70万円から80万円/㎡程度という水準は、一つの相場感として見てよいと思います。ただし、駅近や好立地、グレードの高いマンションでは、それ以上の価格で取引される可能性もあります。
また、今回のグラフでは、築20年以内の物件について、築年数と㎡単価の回帰線が横ばい、又はやや上向きに見える点も特徴的です。これは、一般的な中古マンションのように、築年数の経過に伴って単純に価格が下落しているわけではなく、築年数が経過しても価格が落ちにくい物件が一定数存在していることを示していると考えられます。
この背景には、軽井沢という地域ブランド、リゾートマンションとしての希少性、管理状態の良さ、眺望や周辺環境、車での利便性などが影響している可能性があります。特に軽井沢では、築年数そのものよりも、「どの立地にあるか」「どのように管理されているか」「軽井沢らしい利用価値があるか」が価格を支える要因になりやすいといえます。

6 築30年でも100万円から150万円/㎡で取引されることがある
軽井沢町の中古マンション市場で特徴的なのは、築年数が経過しても、一定の価格水準を維持する物件があることです。
築30年以内のグラフを見ると、㎡単価100万円を超える取引も確認できます。中には、100万円/㎡から150万円/㎡に近い水準で取引されていると見られる事例もあります。
通常、築30年近い中古マンションというと、建物の老朽化、設備更新、大規模修繕、管理費・修繕積立金の上昇などが意識され、価格が大きく下がることも少なくありません。
しかし、軽井沢の場合、築30年程度であっても、管理状態が良好で、立地や環境に優れ、リゾートマンションとしての魅力を保っている物件であれば、資産価値を維持しやすいと考えられます。
特に、管理状態の良いマンションは重要です。
中古マンションでは、専有部分の内装をリフォームすることはできますが、共用部分や管理組合の状態は簡単には変えられません。外壁、屋根、防水、給排水設備、エレベーター、共用廊下、駐車場、植栽、エントランスなどが適切に維持されているかは、資産価値に大きく影響します。
軽井沢のようなリゾート地では、建物の雰囲気や敷地内の植栽、共用部の管理状態も、購入者の印象に強く影響します。したがって、築30年程度であっても、管理状態の良いマンションは、引き続き高い資産価値を有する可能性があります。
7 築40年を超えると単価は下がりやすい
一方で、築40年超の物件になると、㎡単価は下がりやすくなる傾向が見られます。
築30年以内と築30年超のグラフを見ると、築30年超の物件では、㎡単価10万円台から50万円台程度の事例が多く、築30年以内の高単価物件とは明確に差が出ているように見えます。
築40年を超えると、建物の老朽化、耐震性、設備更新、修繕積立金、大規模修繕の負担、将来の建替え可能性などが強く意識されます。
また、リゾートマンションの場合、利用頻度が低い所有者が多く、管理組合の運営が難しくなることもあります。空き住戸が多い、修繕積立金が不足している、共用部の維持管理が十分でないといった場合には、価格に大きく影響します。
したがって、築40年超のマンションでは、価格が安いことだけで判断せず、管理状況、修繕履歴、今後の修繕計画、耐震性、共用設備の状態、管理費・修繕積立金の負担を慎重に確認する必要があります。

8 軽井沢では駅距離との相関が薄い
一般的なマンション市場では、駅から近いほど人気が高く、駅から遠くなるほど㎡単価が下がる傾向があります。
しかし、軽井沢町の中古マンション市場では、駅距離と㎡単価の相関関係は必ずしも強くありません。
駅距離と㎡単価のグラフを見ると、駅からの距離が遠い物件でも高い㎡単価で取引されている事例が確認できます。また、築年数区分によっては、駅距離が遠くなるほど単価が上がるような傾向線も見られます。
これは、軽井沢のマンション市場が、通常の都市型マンション市場とは異なるためです。
軽井沢では、駅からの徒歩分数だけでなく、次のような要素が重視されます。
国道18号沿いなど車でのアクセスが良いこと。
スーパー、飲食店、カフェ、ベーカリー、温泉施設などへのアクセスが良いこと。
緑が多く、静かな環境であること。
眺望や避暑地らしい雰囲気があること。
駐車場が確保されていること。
首都圏から車で来やすいこと。
別荘利用や二地域居住に向いていること。
つまり、軽井沢では「駅に近いこと」だけが利便性ではありません。
むしろ、車での移動を前提とした場合、駅から多少離れていても、国道沿いや商業施設に近い立地、自然環境に恵まれた立地、リゾート感のある立地の方が評価されることがあります。
この点は、松本市や長野市のような一般的な都市型中古マンション市場とは大きく異なる特徴です。

9 軽井沢の中古マンション価格は「都内並み」と見る場面もある
築10年以内で㎡単価150万円から200万円前後の取引が見られること、ファミリータイプで1億円を超える取引が多いこと、2億円以上の取引も確認できることを考えると、軽井沢町の中古マンション価格は、物件によっては都内並みといえる水準です。
もちろん、都内の中心部とは需要構造が異なります。
都内では通勤利便性、駅距離、商業集積、再開発、教育環境などが重視されます。一方、軽井沢では、避暑地・別荘地としてのブランド、自然環境、非日常性、管理状態、車での利便性、首都圏からのアクセスが重視されます。
しかし、結果として成立している価格水準を見ると、軽井沢の一部中古マンションは、地方のリゾートマンションというより、富裕層向けの高額資産として評価されていると考えられます。
この点は、軽井沢町の不動産市場を分析するうえで非常に重要です。
10 軽井沢中古マンション市場の流動性
軽井沢町では、単身向け、カップル向け、ファミリー向けまで幅広いタイプの中古マンション取引が確認できます。
価格帯も、500万円未満から2億円以上まで幅広く、築年数も築浅から築古まで取引があります。
これは、市場参加者が多様であることを示しています。
週末利用の個人、リタイア後の二地域居住者、首都圏の富裕層、投資目的の購入者、法人利用、定住希望者など、需要者層が複数存在していると考えられます。
このような市場では、物件の個別性によって価格差は大きくなりますが、条件の良い物件については一定の流動性が期待できます。
特に、築浅、管理状態良好、生活利便性が高い、駐車場条件が良い、リゾート感がある、といった物件は、今後も需要が見込まれる可能性があります。
11 購入時に確認すべきポイント
軽井沢町で中古マンションを購入する場合、価格だけでなく、次の点を確認することが重要です。
まず、管理状態です。
軽井沢の中古マンションでは、築年数が経過していても高値で取引されることがありますが、それは管理状態が良好であることが前提になります。管理費・修繕積立金の水準、長期修繕計画、大規模修繕の実施状況、共用部の維持管理、管理組合の運営状況を確認する必要があります。
次に、冬季利用のしやすさです。
軽井沢では冬季の寒さや積雪、凍結が問題になります。駐車場の除雪、共用部の凍結対策、給排水設備の凍結対策、暖房設備の状態などは、通常の都市型マンション以上に重要です。
また、車利用を前提とした利便性も重要です。
駅から近いかどうかだけでなく、国道18号へのアクセス、スーパーや飲食店への距離、駐車場の有無、インターからのアクセスを確認する必要があります。
さらに、リゾートマンションとしての魅力も価格に影響します。
眺望、緑の多さ、静けさ、共用施設、建物の雰囲気、周辺環境が、購入者の満足度や将来の売却可能性に関わります。
12 売却時に意識すべきポイント
軽井沢町で中古マンションを売却する場合には、一般的な地方都市の中古マンションとは異なる見せ方が必要です。
単に「駅徒歩何分」「築何年」「専有面積何㎡」という情報だけではなく、その物件がどのような軽井沢らしさを持っているのかを伝えることが重要です。
たとえば、次のような要素です。
国道や商業施設へのアクセスが良い。
周辺に飲食店やカフェが多い。
静かな別荘地に近い。
緑が多く、眺望が良い。
管理状態が良い。
冬季も使いやすい。
駐車場が確保されている。
築年数の割に共用部がきれいである。
軽井沢では、駅距離だけで価格を説明することは難しいため、物件の個別的な魅力を丁寧に整理することが、売却時の重要なポイントになります。
13 まとめ
軽井沢町の中古マンション市場は、長野県内でも非常に特徴的な市場です。
一般的な中古マンション市場では、駅から近いほど人気が高く、駅から遠くなるほど価格が下がる傾向があります。しかし、軽井沢では、国道沿いや商業施設へのアクセス、リゾート感、自然環境、管理状態、車での利便性などが重視されるため、駅距離との相関関係は必ずしも強くありません。
築10年以内の中古マンションでは、㎡単価150万円から200万円前後の取引も確認でき、ファミリータイプであれば1億円台半ばの価格になることもあります。価格水準は、都内並みといえる場面もあります。
築10年未満で100万円/㎡程度であれば、物件の状態や立地によっては割安感がある可能性があります。また、築20年程度であれば70万円から80万円/㎡程度が一つの目安となりそうです。
築30年程度であっても、管理状態の良いマンションでは100万円/㎡から150万円/㎡程度で取引されることがあり、資産価値を維持している物件もあります。一方で、築40年を超えると単価は下がりやすく、管理状態や修繕計画を慎重に確認する必要があります。
また、軽井沢町では、単身向け、カップル向け、ファミリー向けまで幅広いタイプのマンションが取引されており、市場の流動性も比較的高いと考えられます。2億円以上の中古マンション取引が確認できる点からも、軽井沢が全国的にも特殊な高価格帯リゾートマンション市場であることが分かります。
中古マンションの価格は、単純に駅距離や築年数だけで決まるものではありません。特に軽井沢では、立地の質、管理状態、周辺環境、車での利便性、リゾート感、将来の流動性を総合的に見る必要があります。
あおぎり不動産鑑定では、軽井沢町をはじめとする長野県内の中古マンション、別荘地、リゾート不動産について、不動産鑑定評価、価格調査、売買・相続・財産評価に関するご相談に対応しています。
軽井沢の中古マンションの売却を検討している方、購入価格が妥当か確認したい方、相続財産としてマンションの価値を把握したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
あおぎり不動産鑑定
― 価格帯・築年数・駅距離から見る取引傾向 ―
松本市は、長野県内でも中古マンション市場が比較的成立しやすい都市の一つです。県庁所在地である長野市と並び、都市機能、交通利便性、教育・医療機関、商業施設が一定程度集積しており、県内ではマンション需要を確認しやすいエリアといえます。
今回は、過去の中古マンション取引データをもとに、松本市における中古マンション市場の概況を整理しました。分析対象は、おおむね2015年以降の取引事例であり、価格帯、築年数、駅距離、住戸面積帯などの観点から、市場の特徴を見ていきます。
1 松本市の中古マンション市場はファミリー向けが中心
まず、価格帯別の取引件数を見ると、松本市の中古マンション市場では、ファミリー向け住戸の取引が中心となっていることが分かります。
資料上、ファミリー向け、すなわち専有面積55㎡超の住戸については、取引件数が540件、平均価格は約2,421万円、平均㎡単価は約319,409円/㎡となっています。
一方、カップル向け、すなわち専有面積55㎡以下の住戸については、取引件数が38件、平均価格は約854万円、平均㎡単価は約168,472円/㎡となっています。
この数字を見ると、松本市の中古マンション市場では、ワンルームや小規模住戸よりも、ファミリー向けの住戸が中心であることが分かります。これは、松本市が観光都市・商業都市であると同時に、居住地としての性格も強く、実需層による取得が多いことを示していると考えられます。
県全体と比較しても、松本市のファミリー向け中古マンションは、一定の取引件数を有しており、県内では中古マンション市場が形成されている都市といえます。

2 価格帯は2,000万円台から3,000万円台前半が中心
価格帯別の件数を見ると、松本市の中古マンションは、2,000万円台から3,000万円台前半に取引が集中しています。
特に、ファミリー向け住戸では、2,000万円から2,500万円の価格帯が111件、2,500万円から3,000万円が93件、3,000万円から3,500万円が98件となっており、このあたりが市場の中心価格帯と考えられます。
また、1,500万円から2,000万円の価格帯も65件、3,500万円から4,000万円の価格帯も57件あり、築年数や立地条件、専有面積、眺望、階数などによって、一定の価格差が生じていることが分かります。
一方、4,000万円を超える価格帯になると件数は少なくなります。4,000万円から4,500万円が9件、4,500万円から5,000万円が4件、5,000万円超の価格帯はさらに限定的です。
このことから、松本市の中古マンション市場では、2,000万円台から3,000万円台前半が最も流動性の高い価格帯であり、4,000万円を超えると需要者が限られやすい傾向があると考えられます。
鑑定評価や売却査定の実務では、単に「松本市の中古マンション」という大きな括りで見るのではなく、対象住戸が市場の中心価格帯に入るのか、それとも高価格帯に位置するのかを確認することが重要です。中心価格帯に近い物件は需要者層が広く、比較的流動性が期待しやすい一方、高価格帯の物件は、立地や築年数、グレードに強い説明力が必要になります。

3 築年数が浅いほど㎡単価は高い
築年数と㎡単価の関係を見ると、一般的な傾向として、築年数が浅いほど㎡単価が高く、築年数が経過するほど㎡単価が低下する傾向が確認できます。
築10年以内の住戸は、㎡単価40万円台から50万円台の取引も多く、条件の良い住戸では60万円/㎡を超える事例も見られます。特に近年の取引では、築浅物件の㎡単価が高く出ており、松本市においても築浅マンションに対する需要の強さがうかがえます。
一方、築20年以内、築30年以内、築30年超となるにつれて、㎡単価は徐々に低下する傾向があります。築20年以内では30万円/㎡台を中心とする事例が多く、築30年以内になると20万円/㎡台から30万円/㎡台の取引が増えてきます。築30年超では、さらに価格帯が下がり、10万円/㎡台から20万円/㎡台の事例も確認できます。
ただし、築年数と価格の関係は単純ではありません。
築年数が古くても、松本駅に近い、中心市街地に所在する、管理状態が良い、大規模修繕が適切に行われている、眺望や階数に優れる、といった条件があれば、比較的高い㎡単価で取引されることがあります。
反対に、築浅であっても、駅から遠い、専有面積が広すぎる、管理費・修繕積立金が高い、駐車場条件が悪い、周辺環境に難があるといった場合には、㎡単価が伸びにくいこともあります。
したがって、築年数は重要な価格形成要因ですが、築年数だけで価格を判断することはできません。管理状態、立地、階数、向き、面積、間取り、駐車場、修繕履歴などを総合的に見る必要があります。

4 近年は築浅物件の価格水準が上昇している可能性
築10年以内のマンションについて、2015年から2021年頃までの取引と、2021年以降の取引を比較すると、近年の方が㎡単価の水準が高くなっているように見えます。
2015年から2021年頃までの築10年以内の取引では、㎡単価30万円台から40万円台を中心とする事例が多く見られます。一方、2021年以降の築10年以内の取引では、40万円/㎡台から50万円/㎡台、さらに条件の良いものでは60万円/㎡を超える事例も確認できます。
この背景には、建築費の上昇、新築マンション価格の上昇、住宅ローン金利の低水準、中心市街地の利便性に対する評価の高まり、築浅物件の供給の少なさなどがあると考えられます。
特に地方都市では、新築マンションの供給が限られることが多く、築浅中古マンションが新築の代替として検討されることがあります。そのため、築浅で立地の良い中古マンションは、価格が下がりにくい傾向を示すことがあります。
松本市でも、築浅・駅近・中心部のマンションは、今後も一定の需要が見込まれると考えられます。
5 駅距離が遠くなるほど㎡単価は下がる傾向
駅距離と㎡単価の関係を見ると、駅から遠くなるほど㎡単価が下がる傾向が確認できます。
特に、築10年以内のマンションでは、駅距離と㎡単価の関係が比較的分かりやすく表れています。駅に近い物件では㎡単価50万円/㎡前後、またはそれ以上の事例も見られますが、駅から20分、30分と離れるにつれて、㎡単価は低下する傾向があります。
これは、松本市においても、駅距離が中古マンション価格に影響する重要な要因であることを示しています。
松本市の場合、松本駅周辺には商業施設、公共施設、飲食店、業務機能が集積しており、駅へのアクセスは生活利便性や資産性に直結しやすい要素です。また、県外からの移住者、単身赴任者、シニア層、共働き世帯などにとっても、駅や中心市街地への近さは重視されやすいと考えられます。
ただし、松本市は自動車利用も多い都市です。そのため、駅距離だけでなく、駐車場の有無、道路アクセス、買い物施設への距離、学校区、病院への距離なども重要です。
駅から多少離れていても、駐車場が確保されている、生活利便施設が近い、住環境が良い、専有面積が広いといった物件は、一定の需要を確保できる可能性があります。

6 築年数別に見る駅距離の影響
駅距離と㎡単価の関係を築年数別に見ると、築年数が浅い物件ほど全体的な価格水準が高く、築年数が古い物件ほど価格水準が低くなる傾向があります。
築10年以内の物件は、駅から多少距離があっても、築浅という強みが価格を支えているケースがあります。一方、築20年以内、築30年以内となるにつれて、駅距離の影響がより目立つようになります。
築年数が経過した物件では、建物の古さを補うだけの立地条件が必要になります。駅に近い、中心市街地に近い、管理状態が良い、リフォーム済みである、といった強みがなければ、㎡単価は下がりやすくなります。
反対に、築古であっても、駅近で立地が良い物件は、一定の価格を維持することがあります。これは、マンションの場合、土地の持分は小さいものの、立地の希少性が価格に反映されるためです。
7 松本市の中古マンション市場で重視される要素
今回の資料から、松本市の中古マンション価格を判断するうえで、特に重要な要素は次のとおりです。
第一に、築年数です。築浅物件は価格水準が高く、築年数が経過するほど㎡単価は低下する傾向があります。
第二に、駅距離です。松本駅や最寄駅への距離が近い物件ほど、㎡単価が高くなりやすい傾向があります。
第三に、専有面積です。松本市ではファミリー向け住戸の取引が中心であり、55㎡超の住戸が市場の主力になっています。
第四に、価格帯です。2,000万円台から3,000万円台前半の物件は取引件数が多く、流動性が比較的高い価格帯と考えられます。
第五に、管理状態です。今回の図表には直接表れにくい部分ですが、中古マンションでは管理状態が非常に重要です。管理費・修繕積立金の水準、大規模修繕の実施状況、管理組合の運営状況、共用部の維持管理状態などは、価格や将来の売却可能性に影響します。
特に築20年を超えるマンションでは、建物の老朽化だけでなく、修繕積立金の不足、大規模修繕の予定、設備更新の必要性などを確認する必要があります。
8 購入を検討する場合の注意点
松本市で中古マンションを購入する場合、価格だけで判断するのではなく、次の点を確認することが重要です。
まず、同じ価格でも、築年数、専有面積、駅距離、管理状態によって割安・割高の判断は変わります。
たとえば、3,000万円の物件であっても、築浅で駅近、管理状態が良い物件であれば妥当な価格といえる場合があります。一方、築年数が古く、駅から遠く、修繕積立金が不足している物件であれば、価格の見直しが必要になることもあります。
また、松本市では自動車利用が多いため、駐車場の有無は重要です。マンション本体の価格が適正に見えても、駐車場が確保できない場合、ファミリー層や郊外勤務の需要者にとっては使いにくい物件になる可能性があります。
さらに、冬季の道路状況、周辺の交通量、学校や病院へのアクセス、買い物施設への距離も確認したいところです。
中古マンションは、土地や戸建住宅と異なり、専有部分だけでなく共用部分や管理組合の状態も資産価値に影響します。購入前には、重要事項調査報告書、長期修繕計画、修繕積立金の残高、過去の大規模修繕履歴などを確認することが大切です。
9 売却を検討する場合の注意点
売却を検討する場合には、対象物件がどの市場帯に属するのかを把握することが重要です。
松本市では、2,000万円台から3,000万円台前半のファミリー向け中古マンションに取引が多く見られます。そのため、この価格帯に収まる物件は、比較的需要者に検討されやすいと考えられます。
一方、4,000万円を超える価格帯の中古マンションは、件数が少なく、需要者が限られやすい傾向があります。高価格帯で売却するためには、築浅、駅近、眺望、広い専有面積、駐車場、管理状態、ブランド性など、価格を裏付ける要素が必要になります。
また、築年数が経過している物件では、リフォームの有無も重要です。売却前に大規模なリフォームを行うべきか、現況のまま価格を抑えて売却すべきかは、物件ごとに判断が必要です。
リフォーム費用をかけても、その分がそのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。売却戦略としては、周辺の競合物件や買主層を見ながら、費用対効果を検討する必要があります。
10 鑑定士として見た松本市中古マンション市場
今回の資料を見る限り、松本市の中古マンション市場は、県内では比較的取引が多く、一定の市場性が認められるエリアだと考えられます。
特に、ファミリー向け住戸の取引が多く、2,000万円台から3,000万円台前半を中心に市場が形成されています。また、築浅物件や駅近物件については、㎡単価が高く、需要の強さがうかがえます。
一方で、築年数が経過した物件や駅距離のある物件では、㎡単価が下がりやすくなっています。築古マンションでは、単に価格が安いというだけでなく、管理状態や修繕計画、将来の流動性を慎重に確認する必要があります。
松本市は、長野県内では都市機能が集積した地域であり、中古マンション需要が一定程度見込まれる都市です。しかし、首都圏のように広範なマンション需要がある市場とは異なり、物件の個別性によって価格差が出やすい市場でもあります。
そのため、松本市の中古マンションを評価する際には、平均価格や㎡単価だけでなく、築年数、駅距離、階数、向き、専有面積、駐車場、管理状態、周辺環境、取引時点の市況を総合的に確認することが重要です。
11 まとめ
松本市の中古マンション市場は、ファミリー向け住戸を中心に取引が形成されています。価格帯としては、2,000万円台から3,000万円台前半が中心であり、この価格帯は比較的流動性が高いと考えられます。
築年数については、築浅物件ほど㎡単価が高く、築年数が経過するほど㎡単価は低下する傾向があります。特に近年は、築浅物件の㎡単価が上昇している可能性があり、新築マンション価格の上昇や供給不足の影響も考えられます。
駅距離についても、駅に近い物件ほど㎡単価が高く、駅から離れるほど価格が下がる傾向が確認できます。ただし、松本市では自動車利用も多いため、駅距離だけでなく、駐車場、道路アクセス、生活利便施設への距離なども重要です。
中古マンションの価格は、単純に「築年数が浅いから高い」「駅から近いから高い」と決まるものではありません。実際には、立地、建物、管理、面積、階数、向き、駐車場、周辺環境などが複合的に影響します。
あおぎり不動産鑑定では、松本市をはじめとする長野県内の中古マンションについて、不動産鑑定評価、価格調査、売買・相続・財産評価に関するご相談に対応しています。
中古マンションの売却を検討している方、購入価格が妥当か確認したい方、相続財産としてマンションの価値を把握したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
長野市中古マンション市況
価格帯別件数と㎡単価からみる市場の特徴
※本記事は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」に公表されている不動産取引価格情報のうち、長野市における過去約10年分の中古マンション等の取引事例をもとに、当社が独自に集計・分析したものです。
長野市で中古マンションの売却を検討される方にとって、まず知っておきたいのは、ご所有の住戸が市場全体の中でどの位置にあるかという点です。
「戸建に住み替えたい」「別のマンションへ買い換えたい」「相続や転勤をきっかけに売却を考えている」など、売却の理由はさまざまです。しかし、納得感のある売却を進めるためには、感覚だけで価格を考えるのではなく、実際の市場データに基づいて相場観をつかむことが大切です。
今回は、長野市の中古マンションについて、価格帯別の取引件数、面積帯別の特徴、築年数や駅距離と㎡単価の関係を整理し、売却時にどのような点を見ればよいかを解説します。
ご売却の検討にあたって
中古マンションの価格を考える際、最も注意したいのは「総額だけで判断しない」という点です。
たとえば、同じ2,500万円の住戸であっても、専有面積が60㎡なのか、80㎡なのかによって評価は大きく異なります。60㎡で2,500万円であれば㎡単価は約41.7万円、80㎡で2,500万円であれば㎡単価は約31.3万円となり、同じ総額でも価格水準の見え方は変わります。
そのため、相場を比較する際には、総額に加えて「㎡単価」を確認することが基本となります。
また、価格は専有面積だけで決まるものではありません。立地、最寄駅との距離、築年数、階数、方位、管理状態、分譲会社・施工会社、周辺の生活利便施設など、多くの要因によって変動します。
売却を急ぐのか、時間をかけて条件の良い買主を探すのかによっても、適切な価格設定は変わります。したがって、相場把握と販売戦略はセットで考える必要があります。
長野市中古マンション市場の全体像
ご提供資料を整理すると、長野市の中古マンション市場では、55㎡超のファミリータイプが512件と圧倒的に多く、平均価格は2,506万円、平均㎡単価は326,937円となっています。
これに対し、55㎡以下のカップル向け住戸は62件、平均価格1,294万円、平均㎡単価262,551円、35㎡以下の単身向け住戸は75件、平均価格308万円、平均㎡単価139,341円でした。
つまり、長野市の中古マンション市場の中心は、実際に居住することを目的としたファミリータイプの住戸であり、単身向け住戸は流通件数、価格水準ともに相対的に小さいことが読み取れます。
長野市では、中心市街地や長野駅周辺の利便性が高いエリアに加え、スーパー、学校、病院などの生活利便施設に近い住宅地において、実需向けの需要が厚いと考えられます。特に、ある程度の面積が確保された住戸に取引が集まりやすい構造が見られます。

価格帯別にみる市場の特徴
価格帯別件数を見ると、長野市の中古マンション市場は2,000万円台から3,000万円台に厚みがあります。特に、55㎡超のファミリータイプでは、2,000万〜2,500万円帯、2,500万〜3,000万円帯の取引が多く、実際に住むための住戸に需要が集まりやすいことがわかります。
反対に、35㎡以下の単身向け住戸は500万〜1,500万円帯を中心に分布しており、件数自体も限定的です。55㎡以下のカップル向け住戸は、その中間的な位置づけで、価格水準・件数ともに単身向けとファミリー向けの間にあります。
このことから、長野市では「広さを確保した実需向け住戸」が中古マンション市場の厚い層を形成しているといえます。ご所有のマンションを売却する際にも、まずはこのボリュームゾーンと比較して、どの価格帯で競争力があるかを確認することが重要です。
なお、4,000万円を超える事例も一定数みられますが、こうした住戸は、築浅、駅近、上層階、角住戸、眺望良好、設備水準が高いなど、複数のプラス要因を備えているケースが多いと考えられます。
そのため、ご所有物件がどの価格帯で勝負できるかを考える際には、単に面積だけでなく、築年数や立地、管理状態、階数、方位などの個別要因を丁寧に確認する必要があります。
市場全体のボリュームゾーンを把握しておくことは、強気すぎる価格設定を避け、結果として適切な販売期間で成約に近づけるうえで大きな意味を持ちます。

物件比較におけるポイント
中古マンションの価格を比較する際の主なポイントは、次のとおりです。
まず、最寄駅と沿線の評価です。長野市では首都圏ほど駅距離だけで価格が決まるわけではありませんが、長野駅周辺や北長野駅周辺など、交通利便性の高いエリアでは駅距離の影響が見られます。
次に、駅からの距離です。徒歩圏であるか、バス利用が必要か、駐車場の使いやすさはどうかといった点は、買主の検討に影響します。
また、立地・住環境も重要です。スーパー、学校、病院、公園などの生活利便施設への距離、幹線道路へのアクセス、周辺の騒音や眺望なども価格形成に関わります。
さらに、築年数、階数、方位、間取り、専有面積、分譲会社・施工会社、管理状態も重要な比較ポイントです。同じマンション内であっても、上層階、南向き、角住戸、眺望の良い住戸などは、相対的に評価されやすい傾向があります。
ただし、売り出し価格はあくまで売主の希望が反映された価格であり、必ずしも実際の成約価格と一致するわけではありません。相場を考える際には、できるだけ複数の事例を集め、似た条件の住戸を並べて比較することが大切です。
築年数と㎡単価の関係
ご提供資料の散布図から明確に読み取れるのは、築年数が進むほど㎡単価が低下する傾向です。
とりわけ築浅住戸は㎡単価が高く出やすく、築後年数の経過に伴って価格が調整されていく様子が確認できます。単身向け住戸では築浅時の㎡単価が相対的に高く、築年数の影響も大きく表れやすい傾向があります。
一方、ファミリータイプはもともとの面積が大きいため、総額では一定水準を保ちながらも、㎡単価ベースでは築年数とともに緩やかに低下していく傾向が見られます。
もっとも、築年数だけで価格が決まるわけではありません。管理状況、修繕履歴、立地条件、眺望、設備更新の有無などによって評価差は生じます。築年数が古くても、管理が行き届いたマンションや立地優位性の高い住戸は、相場の中で競争力を維持しやすいといえます。

駅距離と㎡単価の関係
駅距離と㎡単価の関係を見ると、駅から近い住戸ほど高値になりやすい傾向はあります。ただし、その影響は築年数ほど強くはありません。
長野市では車利用の比重が比較的高く、駅徒歩分数だけで需要が一律に決まるわけではないためです。もちろん、長野駅周辺や北長野駅周辺など交通利便性の高いエリアでは、徒歩圏であることが価格面でプラスに働きやすいと考えられます。
一方で、実際にはスーパー、学校、病院、駐車場の確保、幹線道路へのアクセスなど、生活利便性全体が価格形成に関わってきます。そのため、駅からの距離だけを単独で見て相場を判断するのではなく、地域の生活動線に照らして評価する視点が重要です。

最近の分譲マンションの具体例
中古市場を考える際には、足元の新築・新規分譲の動きも参考になります。新築分譲マンションは、立地、専有面積、設備仕様、共用部の充実度などを通じて、地域の住宅需要がどこに向かっているかを示すからです。
たとえば、「Brillia 長野北石堂 ALPHA RESIDENCIA」は、JR「長野」駅徒歩5分、全267邸の大規模分譲マンションで、2LDK〜4LDKの幅広いプランを備えています。中心市街地における大規模供給であり、駅近・一定面積以上・居住性重視という近年の需要を象徴する事例といえます。
また、「アルファステイツ北長野」は、北長野駅徒歩5分、全71戸、2LDK・3LDK、専有面積60.36㎡〜90.79㎡の新築分譲マンションです。長野駅周辺だけでなく、生活利便性と交通利便性のバランスが取れたエリアでも、ファミリー層やDINKS層向けの新規供給が進んでいることを示す具体例といえます。
こうした新築の供給動向は、中古市場においても「どの広さ・どの価格帯に需要があるか」を考えるうえで参考になります。

売却査定を依頼する際の考え方
不動産会社に査定を依頼する場合、査定価格は「必ずその金額で売れる」という意味ではなく、あくまで市場データと個別要因に基づく目安です。
実際の売却では、売出価格の設定、販売期間、広告の見せ方、内覧時の印象、買主の資金計画など、さまざまな要素が成約価格に影響します。したがって、査定書を見る際には、単に価格の高低だけでなく、「なぜその価格なのか」という根拠を確認することが重要です。
また、売却には仲介手数料、印紙代、抵当権抹消費用、場合によっては譲渡所得税などの諸費用が伴います。住み替えであれば、新居取得のタイミングとの調整も必要になるため、早めに相談しておくことが望ましいでしょう。
相場感を持って売却に臨むことは、納得感のある取引への第一歩です。ご所有マンションの市場における位置づけを正しく知りたい、今売るべきか少し様子を見るべきか判断したい、そのような場合は個別査定をご活用ください。
地域の取引動向と物件の個別性を踏まえた検討によって、より納得感のある売却方針を立てることができます。
長野市で中古マンションの売却をご検討中の方は、売却の無料査定について、弊社へお気軽にご相談ください。
出典・分析対象データについて
本記事は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」に公表されている不動産取引価格情報のうち、長野市における過去約10年分の中古マンション等の取引事例をもとに、当社が独自に集計・分析したものです。
不動産取引価格情報は、国土交通省が不動産の取引当事者を対象に実施したアンケート調査に基づき、売買物件が容易に特定できないよう加工したうえで公表されている情報です。なお、公表されている価格は、数値の丸めを除き、補正を行っていないものとされています。
本記事に掲載している平均価格、平均㎡単価、価格帯別件数、築年数・駅距離と㎡単価の関係等は、当該公開データをもとに、長野市の中古マンション市場の傾向を把握する目的で整理したものです。個別のマンション価格は、専有面積、階数、方位、築年数、管理状態、リフォーム履歴、眺望、駐車場の有無、売却時期などによって異なりますので、実際の売却価格を保証するものではありません。出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産取引価格情報
分析対象:長野市における中古マンション等の取引事例
主な集計期間:2015年5月24日〜2025年8月16日
あおぎり不動産鑑定
令和8年(2026年)3月18日、国土交通省より最新の「令和8年地価公示」が発表されました。公表されたデータに基づき、全国的な潮流から北陸・圏域の傾向、新潟県内全体の傾向、用途別(住宅地・商業地・工業地)の価格や変動率、市区町村別の動向、および今後の市場見通しについて、事実関係を整理・解説します。
価格判定の基準日は令和8年1月1日です。
1. 全国および圏域の概況
令和8年地価公示における全国の平均変動率は、住宅地が2.1%、商業地が4.3%、工業地が4.9%の上昇となりました。景気が緩やかに回復する中、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇が継続するなど、全体として強い上昇基調が続いています。
これに対し、新潟県を含む甲信越や近隣北陸圏エリアでは、富山県(住宅地+0.2%、商業地+0.3%)や石川県(住宅地+0.9%、商業地+2.0%)のように上昇を維持する地域がある一方、新潟県(住宅地▲0.5%、商業地▲0.5%)のように下落傾向を脱し切れていない地域もあり、地域間での地価トレンドの格差が見られます。
2. 新潟県全体の動向
新潟県内における令和8年1月1日時点の地価公示(調査実施427地点)では、県全体の全用途平均変動率が▲0.4%となり、平成8年以降31年連続の下落を記録しました。しかし、下落率は前年(▲0.5%)より縮小しています。用途別の平均変動率および平均価格は以下の通りです。
- 住宅地:▲0.5%(前年▲0.6%から下落率が縮小。平成10年以降29年連続の下落)
- 商業地:▲0.5%(前年▲0.7%から下落率が縮小。平成5年以降34年連続の下落)
- 工業地:1.7%(前年1.6%から上昇率が拡大。8年連続の上昇を維持)
- 全用途:▲0.4%(前年▲0.5%から改善、31年連続の下落)
調査結果の全体的な特徴として、「県都・新潟市中心部への一極集中」と「インバウンド需要・災害被害等による局所的な二極化」が鮮明に現れています。
県全体では下落基調が続くものの、価格が上昇した地点は126地点(前年118)、横ばい地点は48地点(前年40)へとそれぞれ増加しました。特に新潟市(全用途+0.8%)では中心部や利便性の高い郊外で実需が極めて旺盛であり、上昇率が拡大しています。また、インバウンドを含む観光客の増加に沸く湯沢町(商業地+1.6%)や妙高市の一部などで力強い上昇が見られたのが特徴です。
その一方で、能登半島地震の被害が大きかった地域では前年に続き地価の下落が見られるほか、インフラや都市機能の集積から遠い地方郊外(糸魚川市全用途▲2.7%、柏崎市全用途▲2.3%など)では厳しい下落トレンドが続いており、需要が集中する都市部・リゾート観光地と地方郊外との二極化・格差が明確に現れる結果となっています。
3. 用途別の詳細および上位市区町村・特定エリア動向
■ 住宅地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 新潟市中央区水道町2丁目808番17「新潟中央-8」:172,000円/㎡(変動率 0.0%、3年連続県内1位)
- 新潟市中央区中大畑町554番「新潟中央-6」:166,000円/㎡(変動率▲0.6%)
- 新潟市中央区鐙1丁目70番「新潟中央-14」:150,000円/㎡(変動率+5.6%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 新潟市中央区鐙1丁目70番「新潟中央-14」:+5.6%(前年5.2%からさらに加速、県内1位)
- 新潟市中央区堀之内南2丁目153番「新潟中央-5」:+5.4%
- 新潟市中央区網川原1丁目170番24「新潟中央-15」:+3.8%
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 新潟市西区寺尾朝日通1020番7「新潟西-9」:▲4.1%(県内最大の下落)
- 新潟市西区山田字西山田2611番2外「新潟西-5」:▲3.8%
【動向解説・分析】
住宅地は、新潟市中心部のブランドエリアや駅周辺への実需の集中が顕著です。県内最高価格を維持する「新潟市中央区水道町」は172,000円/㎡(横ばい)と安定した価値を誇っています。上昇率トップとなった「新潟市中央区鐙1丁目(+5.6%)」や「堀之内南2丁目(+5.4%)」など、中央区内の利便性優良地が高い伸びを見せており、市区町村別平均で見ても新潟市中央区(+1.8%)、江南区(+1.5%)、北区(+1.3%)といった新潟都市圏の好調ぶりが際立っています。 その一方で、市街化の勢いが弱い地方郊外(糸魚川市平均▲2.8%、田上町平均▲2.3%)は依然として厳しい下落から脱却できていません。また個別地点では、能登半島地震等の被害が大きく影響した地域(新潟市西区寺尾朝日通▲4.1%など)において、需要減退に伴う大幅な下落が記録されており、地域的な明暗を色濃く反映しています。
■ 商業地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 新潟市中央区東大通1丁目25番外「新潟中央5-2」:659,000円/㎡(変動率+6.3%、39年連続1位)
- 新潟市中央区万代2丁目1997番1「新潟中央5-13」:352,000円/㎡(変動率+3.2%)
- 新潟市中央区米山3丁目572番2外「新潟中央5-15」:322,000円/㎡(変動率+2.9%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 妙高市大字赤倉字南469番14外「妙高5-3」:+7.1%(リゾート観光地・インバウンド実需)
- 新潟市中央区東大通1丁目25番外「新潟中央5-2」:+6.3%(新潟駅前・オフィス店舗実需)
- 新潟市中央区東大通1丁目148番「新潟中央5-10」:+5.4%
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 上越市稲田2丁目842番2「上越5-3」:▲3.9%(県内最大の下落)
- 上越市中郷区板橋「上越5-10」:▲3.8%
- 魚沼市本町2丁目11番「魚沼5-2」:▲3.6%
【動向解説・分析】 商業地においては、投資・ビジネス需要が集積する「新潟駅周辺」と、インバウンド効果が直撃する「スノーリゾート地」への旺盛な需要が市場を牽引しています。県内最高価格の「新潟中央5-2(新潟駅前)」は659,000円/㎡(+6.3%)に達し、昭和63年から39年連続のトップに君臨しています。 一方、上昇率で驚異的な伸びを見せ県内1位となったのが「妙高市大字赤倉(+7.1%)」です。インバウンドを含む観光客の大幅な回復を背景に、ホテルや店舗需要が地価を強烈に刺激しており、市町村別で見ても湯沢町(商業地平均+1.6%)や妙高市(下落から+0.2%へ転換)などのリゾートエリアの躍進が目立ちます。 反面、こうした恩恵から取り残された内陸部や地方商業地は依然として厳しく、小千谷市(平均▲3.0%)や三条市(平均▲3.0%)をはじめ、個別地点でも上越市稲田2丁目(▲3.9%)など商店街や旧来の商業エリアでは地価の下げ止まりが見えず、投資の偏在が明確に浮き彫りとなっています。
■ 工業地
- 平均価格および上昇率上位(抜粋):
- 新潟市江南区曙町3丁目「新潟江南9-1」:27,100円/㎡(変動率+3.0%)
- 新潟市江南区亀田大月2丁目「新潟江南9-2」:31,600円/㎡(変動率+2.6%)
- 上越市大字福橋「上越9-3」:10,700円/㎡(変動率+3.9%、最高上昇率)
- 特徴:
- 県全体で8年連続の上昇を記録し、上昇率は1.7%(前年1.6%)へ拡大。主要工業地帯を抱える市を中心に堅調推移。
【動向解説・分析】 新潟県内の工業地は、全三用途の中で唯一「+1.7%」という安定した上昇トレンドを持続しています。 インターネット通販の普及拡大に伴う広域配送センターや先進的物流拠点の設置需要、企業の製造拠点再編に伴う実需が幹線道路沿いやインターチェンジ周辺に集中しています。最高上昇率を記録した「上越市大字福橋(+3.9%)」や、堅調な需要を誇る「新潟市江南区曙町(+3.0%)」など、アクセス性に優れた拠点への引き合いが絶えません。長岡市や上越市、見附市などの調査エリアにおいても安定した推移を見せており、地方部の住宅・商業地に見られる大幅な衰退とは一線を画す、底堅い市場実態を形成しています。
4. 今後の市場見通し
新潟県の土地市場は、新潟駅周辺の大規模な都市整備や利便性の高い都市圏郊外、さらに世界的な評価を受けるスノーリゾートエリアにおいて、今後も強い実需と投資需要に支えられた地価上昇が継続すると予測されます。
しかしその一方で、能登半島地震の傷跡が残る地域への継続的な支援や産業基盤の再構築をはじめ、人口減少に歯止めがかからない地方郊外や旧来の商店街街区では、需要の減退に歯止めをかけることが容易ではなく、地域間での「一極集中」と「多極的二極化」は今後より固定化していく懸念を抱えています。
不動産市場の動向を正確に捉える際には、単に県平均のマイナス幅の縮小という表面的な数字だけを見るのではなく、インフラ投資やインバウンド、災害影響など、地域ごとのミクロな個別要因を多角的に見極めることが極めて重要です。
あおぎり不動産鑑定
令和8年(2026年)3月18日、国土交通省より最新の「令和8年地価公示」が発表されました。公表されたデータに基づき、全国的な潮流から北陸圏の傾向、富山県内全体の傾向、用途別(住宅地・商業地・工業地)の価格や変動率、市区町村別の動向、および今後の市場見通しについて、事実関係を整理・解説します。
価格判定の基準日は令和8年1月1日です。
1. 全国および北陸圏の概況
令和8年地価公示における全国の平均変動率は、住宅地が2.1%、商業地が4.3%、工業地が4.9%の上昇となりました。景気の緩やかな回復や都市部での活発な再開発投資を背景に、全国的に地価の上昇基調が定着しています。
北陸圏(北陸3県)においては、石川県が住宅地0.9%・商業地2.0%の上昇、富山県が住宅地0.2%・商業地0.3%の上昇を示しました。福井県は住宅地が0.0%の横ばい、商業地が0.3%の上昇となっています。北陸圏全体としても、主要都市の駅周辺整備やインフラ集積エリアが全体を牽引し、底堅い地価トレンドを維持している状況です。
2. 富山県全体の動向
富山県内における令和8年1月1日時点の地価公示(調査実施228地点)では、県全体の全用途平均変動率が0.3%となり、前年の0.1%から上昇幅を拡大して2年連続の上昇を記録しました。用途別の平均変動率および平均価格は以下の通りです。
- 住宅地:0.2%(前年0.0%から改善。平成5年以来、33年ぶりに上昇に転じる歴史的な転換点。平均価格:36,700円/㎡) PDF他 1 件
- 商業地:0.3%(前年0.1%に続き、2年連続の上昇を維持。平均価格:86,400円/㎡) PDF他 1 件
- 工業地:2.2%(前年1.9%から上昇幅を拡大し、5年連続の上昇。平均価格:23,000円/㎡) PDF他 1 件
- 全用途:0.3%(前年0.1%から拡大し、2年連続の上昇。平均価格:51,000円/㎡) PDF他 1 件
調査結果の全体的な特徴として、県都である富山市への一極集中と、インフラ・実需の有無による地域間格差(二極化)が非常に鮮明に現れています。
富山市では住宅地が1.3%上昇、商業地が1.4%上昇、全用途平均で1.4%上昇と、12年連続で地価上昇を維持し県全体を強力に牽引しています。また、富山市に隣接し高い利便性を誇る舟橋村(住宅地+1.0%)が5年連続で上昇したほか、射水市(住宅地+0.1%、全用途+0.2%)がマイナス圏を脱して上昇に転じるなど、富山都市圏の実需の広がりが住宅地33年ぶりの「プラス転化」という劇的な成果をもたらしました。
その一方で、県内第2の都市である高岡市では、工業地が上昇(+1.0%)したものの、住宅地(▲1.1%)や商業地(▲0.5%)の低迷が響き、全用途平均で▲0.8%と33年連続の下落を記録しています。都市部・駅周辺の好調自治体と、需要減退が続く地方郊外や調整区域との間での格差が、福井県や石川県と同様に明確に映し出される結果となりました。
3. 用途別の詳細および上位市区町村・特定エリア動向
■ 住宅地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 富山市舟橋南町6番3外「富山-39」:132,000円/㎡(変動率+0.8%、22年連続県内1位)
- 富山市芝園町1丁目5番17外「富山-4」:120,000円/㎡(変動率+3.4%)
- 富山市神通町2丁目4番2外「富山-35」:118,000円/㎡(変動率+2.6%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 富山市奥田本町「富山-46」:+4.5%(富山駅の北約1.6km)
- 富山市婦中町高日附「富山-64」:+4.0%
- 富山市奥田寿町「富山-32」:+3.8%
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 高岡市福田六家113番「高岡-11」:▲3.7%(高岡IC北側の市街化調整区域、県内最大の下落)
- 高岡市佐野276番25「高岡-23」:▲3.4%(市街化調整区域内の郊外既成住宅地)
【動向解説・分析】 住宅地は、富山市中心部のブランドエリアや交通利便性に優れた地域での実需が堅調です。県内最高価格地点の「富山市舟橋南町」は132,000円/㎡(+0.8%)を記録し、選定替の歴史を含めると実質45年連続のトップを守り抜いています。上昇率では、富山駅北側の整備効果が波及する「富山市奥田本町」が+4.5%と高い伸びを示したほか、郊外の生活利便地である「婦中町高日附」が+4.0%を記録するなど、富山市内の優良な住環境を持つエリアに需要が集中しています。 反面、下落率の大きかったエリアを見ると、高岡市の市街化調整区域(福田六家▲3.7%、佐野▲3.4%)が上位を占めています。農地が広がる地域や郊外の古い既成住宅地では、人口減少に伴う需要減退が顕著であり、下落傾向が拡大する厳しい地価トレンドとなっています。
■ 商業地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 富山市桜町2丁目1番5「富山5-15」:654,000円/㎡(変動率+6.2%、12年連続1位)
- 富山市桜町1丁目3番4外「富山5-18」:443,000円/㎡(変動率+3.5%)
- 富山市総曲輪3丁目5番9「富山5-1」:360,000円/㎡(変動率▲1.4%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 富山市桜町2丁目1番5「富山5-15」:+6.2%(富山駅前・CiC南側)
- 富山市新桜町5番3「富山5-23」:+6.1%(富山駅南東、事業所需要旺盛)
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 南砺市是安「南砺5-1」:▲3.4%(城端駅前に近い商店街)
- 魚津市新宿121番15「魚津5-1」:▲3.2%
【動向解説・分析】 商業地においては、富山駅周辺の整備・開発に伴う繁華性向上の恩恵を受けた「駅前周辺エリア」が圧倒的な強さを見せています。最高価格かつ最高上昇率を叩き出したのは、駅前の超一等地である「富山市桜町2丁目」で、654,000円/㎡(前年比+6.2%)に達しました。また、ビジネス拠点としての需要が堅調な「新桜町」も+6.1%と急伸しており、投資と実需が駅南口周辺に集中する「独走状態」が続いています。 しかし同じ富山市内でも、旧来の中心商業地である「総曲輪3丁目」は▲1.4%の下落となるなど、中心部内部での構造変化も見られます。さらに、新幹線インフラから離れた地方都市の商業地は依然として厳しく、南砺市是安(▲3.4%)や魚津市新宿(▲3.2%)など、商店街の衰退や人流減少に歯止めがかからないエリアとの明暗が、より先鋭化しています。
■ 工業地
- 主要エリアの変動率:
- 富山市:+2.6%
- 射水市:+2.3%
- 高岡市:+1.0%
- 特徴:
- 県内全8地点のうち、7地点が「上昇」、1地点が「横ばい」。工業地における下落地点はゼロ。 PDF他 1 件
【動向解説・分析】 富山県内の工業地は平均変動率+2.2%を記録し、他の用途に比べて極めて安定した高い上昇トレンドを維持しています。 インターネット通販の普及拡大に伴う広域物流倉庫の用地需要や、企業の製造拠点としての引き合いが、主要バイパスや高速道路インターチェンジへのアクセスに優れた適地に集中しています。富山市(5地点すべて上昇、最高値は八日町+3.8%)や射水市(1地点・有磯+2.3%)は全地点が上昇し、地価下落が続く高岡市においても工業地(石丸+1.9%)が上昇を記録するなど、製造・物流の拠点性が高いエリアでの実需の力強さが県内工業地市場を支えています。
4. 今後の市場見通し
富山県の地価は、富山駅周辺の再開発や交通インフラの恩恵を直接受ける富山都市圏の優良エリアを中心に、今後も安定した需要が継続するものと予測されます。特に住宅地における33年ぶりのプラス転化は、今後の市場心理にポジティブな影響を与える好材料と言えます。
しかし、高岡市をはじめとする地方都市圏や、駅から離れた市街化調整区域などの地方部では依然として厳しい下落傾向から脱却できていません。産業集積の有無や人口動態の格差により、地域間での「二極化」は今後さらに拡大・固定化していく懸念があります。
不動産市場の動向を正確に捉えるためには、県全体の平均値に惑わされることなく、エリアごとのミクロな特性や、実需・投資需要の局所的な集中度合いを冷静に見極めることが、これまで以上に重要です。
被災された能登地方をはじめ、北陸地域の一日も早い震災復興を心よりお祈り申し上げます。 今後とも適正な不動産鑑定評価を通じて、地域の確かな復興と発展に貢献してまいります。
あおぎり不動産鑑定
令和和8年(2026年)3月18日、国土交通省より最新の「令和8年地価公示」が発表されました。公表されたデータに基づき、全国的な潮流から北陸圏の傾向、石川県内全体の傾向、用途別(住宅地・商業地・工業地)の価格や変動率、市区町村別の動向、および今後の市場見通しについて、事実関係を整理・解説します。
価格判定の基準日は令和8年1月1日です。
1. 全国および北陸圏の概況
令和8年地価公示における全国の平均変動率は、全用途で2.8%の上昇となり、5年連続の上昇を記録しました。住宅地が2.1%、商業地が3.9%、工業地が4.9%と、いずれも都市部を中心に力強い回復・上昇基調が続いています。
北陸圏(北陸3県)においては、各県ともに主要都市やインフラ集積エリアが全体を牽引し、底堅い地価トレンドを維持しています。 3県の全用途および用途別の平均変動率は以下の通りです。
- 石川県:住宅地 0.9% / 商業地 2.0% / 工業地 4.7%(全用途 1.4%の上昇)
- 富山県:住宅地 0.2% / 商業地 0.1% / 工業地 2.2%(全用途 0.3%の上飾)
- 福井県:住宅地 0.0% / 商業地 0.3% / 工業地 2.6%(全用途 0.2%の上昇)
北陸地方全体の平均(住宅地0.4%、商業地0.6%、工業地3.2%)と比較しても、石川県、特に金沢都市圏を中心とするエリアの地価の勢いが北陸圏内を大きくリードしている状況が浮き彫りとなっています。
2. 石川県全体の動向
石川県内における令和8年1月1日時点の地価公示(調査実施223地点)では、県全体の全用途平均変動率が1.4%となり、5年連続の上昇を記録しました。平均価格は88,100円/㎡で、全国16位に位置しています。
用途別の平均変動率および平均価格の推移は以下の通りです。
- 住宅地:0.9%(前年0.6%から上昇幅が拡大。平均価格:59,400円/㎡)
- 商業地:2.0%(前年1.4%から上昇幅が拡大。平均価格:165,800円/㎡)
- 工業地:4.7%(前年4.7%と同水準の、極めて強い上昇基調を維持。平均価格:35,800円/㎡)
- 全用途:1.4%(前年1.0%から拡大し、5年連続の上昇。平均価格:88,100円/㎡)
調査結果の全体的な特徴として、「金沢都市圏への一極集中」と「地方部との深刻な二極化」がこれまで以上に鮮明に現れています。 県内の継続標準地217地点の騰落状況を見ると、上昇地点が145地点(前年153)に減少する一方、横ばい地点が19地点(前年16)、下落地点が53地点(前年47)へとそれぞれ増加しました。金沢市(全用途+2.9%)やその周辺のベッドタウン(野々市市+3.1%、かほく市+3.4%、白山市+2.6%)が驚異的な実需に支えられて地価を大きく押し上げる一方で、インフラの恩恵や人口動態の厳しい地方部、特に能登地方(珠洲市▲5.4%、輪島市▲5.5%など)との間で、明暗が残酷なまでに分かれる結果となっています。
3. 用途別の詳細および上位市区町村・特定エリア動向
■ 住宅地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 金沢市彦三町1丁目「金沢-2」:194,000円/㎡(変動率+2.6%、県内1位)
- 金沢市広岡1丁目「金沢-36」:192,000円/㎡(変動率+3.2%)
- 金沢市駅西本町3丁目「金沢-63」:186,000円/㎡(変動率 0.0%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 野々市市新庄1丁目「野々市-2」:+6.8%(前年5.8%からさらに加速)
- 小松市日の出町3丁目「小松-15」:+6.1%
- 小松市末広町「小松-1」:+6.0%
- 白山市相木町「白山-5」:+6.0%
- かほく市遠塚「かほく-3」:+5.0%
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 珠洲市飯田町「珠洲-2」:▲5.5%
- 輪島市河井町弐弐部「輪島-1」:▲5.4%
- 珠洲市上戸町「珠洲-1」:▲5.2%
【動向解説・分析】 住宅地は、金沢中心部のブランドエリアにおける安定した富裕層・実需層の需要に加え、周辺のベッドタウンや新幹線駅周辺への「実需の波及」が顕著です。県内最高価格を維持する「金沢市彦三町1丁目」は194,000円/㎡(+2.6%)と堅調で、利便性の高い金沢駅周辺の優良宅地に対する強い引き合いを証明しています。 上昇率でトップとなった「野々市市新庄1丁目(+6.8%)」や「白山市相木町(+6.0%)」、さらに「かほく市遠塚(+5.0%)」などは、良好な住環境と金沢中心部へのアクセスの良さから、若いファミリー層の流入が続いており、旺盛な住宅建築需要が地価を押し上げています。また、小松市(日の出町:+6.1%など)でも駅周辺の整備に伴う利便性の再評価が地価を強く刺激しています。 一方で、地方郊外や能登地方の住宅地市場は極めて厳しい状況です。特に珠洲市や輪島市では、人口減少の加速に加えて生活インフラの再構築プロセスの途上にあることなどが需要を著しく減退させており、5%を超える大幅な下落を記録するなど、地域間格差の固定化が大きな課題となっています。
■ 商業地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 金沢市本町2丁目「金沢5-4」:1,230,000円/㎡(変動率+9.8%、県内1位)
- 金沢市香林坊2丁目「金沢5-29」:965,000円/㎡(変動率+6.0%)
- 金沢市武蔵町「金沢5-11」:870,000円/㎡(変動率+8.1%)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 金沢市片町2丁目「金沢5-14」:+15.4%(片町スクランブル交差点近く)
- 金沢市広岡1丁目「金沢5-13」:+9.9%
- 金沢市本町2丁目「金沢5-4」:+9.8%
- 下落率の大きい地点(抜粋):
- 輪島市河井町「輪島5-2」:▲6.3%
- 珠洲市飯田町「珠洲5-1」:▲5.9%
- 七尾市和倉町「七尾5-2」:▲5.1%
【動向解説・分析】 商業地においては、金沢駅周辺および中心繁華街への「投資・ビジネス需要の圧倒的な集中」が地価を強力に牽引しています。最高価格地点である「金沢市本町2丁目」は、オフィスやホテルの旺盛な需要を背景に1,230,000円/㎡(前年比+9.8%)まで上昇しました。 さらに特筆すべきは、中心繁華街である「金沢市片町2丁目(片町スクランブル交差点近く)」の+15.4%という驚異的な上昇率です。人流の完全な回復、インバウンドを含めた観光客の増加、それに伴う店舗需要や再開発への期待感が、特定の超一等地に莫大な実需とプレミアムを呼び込んでいます。金沢市(商業地平均+4.3%)を筆頭に、野々市市(+3.4%)、白山市(+3.0%)といった都市圏全体がこの恩恵を享受しています。 その反面、新幹線や都市機能の集積から遠い地方商業地、および能登地方の商業エリアでは厳しい下落に歯止めがかかっていません。輪島市河井町(▲6.3%)や珠洲市飯田町(▲5.9%)に加え、観光名所である七尾市和倉町(▲5.1%)でも、店舗や旅館の稼働停滞、それに伴う商業実需の減退が地価の足を大きく引っ張っており、インフラ投資や経済活動の有無による明暗が、最も残酷な形で数値に投影されています。
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■ 工業地
- エリア別平均変動率(抜粋):
- 金沢市:+4.8%
- 小松市:+4.6%
- 白山市:+4.6%
- 特徴:
- 県内調査対象となった全10地点すべてにおいて「上昇」を記録。下落・横ばい地点はゼロ。 PDF他 1 件
【動向解説・分析】 石川県内の工業地は、全三用途の中で最も高い「+4.7%」という極めて強い上昇トレンドを前年から維持しています。 この背景にあるのは、インターネット通販の日常化に伴う「先進的物流拠点・配送センター」の設置需要、および企業の製造拠点・サプライチェーン再編に伴う工場用地の旺盛な実需です。特に北陸自動車道のインターチェンジへのアクセスが優れた白山市や小松市、そして金沢市周辺の工業団地や幹線道路沿いは、まとまった規模の土地に対する引き合いが絶えません。供給可能な適地が極めて限定的であることから、完全な「売り手市場」が形成されており、地方部を含む地価の二極化とは無縁の、県内全域にわたる力強い地価の底上げが続いています。
4. 今後の市場見通し
石川県の土地市場は、金沢都市圏を中心とした利便性の高いエリアや主要インフラ沿線において、今後も旺盛な実需と投資需要に支えられた堅調な地価上昇が継続すると予測されます。特に、利便性の高い郊外のベッドタウンや、物流の要衝となる工業地については、依然として上値を追う展開が続くでしょう。
しかしその一方で、能登地方をはじめとする地方部や、インフラ整備の恩恵が及びにくい地域では下落傾向が続いており、復興のスピードや人口動態、産業集積の格差によって、地域間での「二極化・多極化」は今後さらに拡大、あるいは固定化していく懸念を内包しています。
これからの不動産市場を捉える際には、単に「県平均の上昇」という表面的な数字に惑わされることなく、エリアごとのミクロな特性、上昇を支える実需の背景、そして下落が続く地域の構造的要因を冷静に見極めることが、これまで以上に重要になってきます。
被災された能登地方をはじめ、石川県内の一日も早い震災復興を心よりお祈り申し上げます。
今後とも適正な不動産鑑定評価を通じて、地域の確かな復興と発展に貢献してまいります。
あおぎり不動産鑑定
令和8年(2026年)3月18日、国土交通省より最新の「令和8年地価公示」が発表されました。公表されたデータに基づき、全国的な潮流から北陸圏の傾向、福井県内全体の傾向、用途別(住宅地・商業地・工業地)の価格や変動率、市区町村別の動向、および今後の市場見通しについて、事実関係を整理・解説します。
価格判定の基準日は令和8年1月1日です。
1. 全国および北陸圏の概況
令和8年地価公示における全国の平均変動率は、住宅地が2.1%、商業地が4.3%、工業地が4.9%の上昇となりました。また、北陸圏(北陸3県)においては、石川県が住宅地0.9%・商業地2.0%の上昇、富山県が住宅地0.2%・商業地0.3%の上昇を示しています。各県ともに主要都市やインフラ整備が進む中心エリアが牽引し、底堅い地価トレンドを維持している状況です。
2. 福井県全体の動向
福井県内における令和8年1月1日時点の地価公示(調査実施133地点)では、県全体の全用途平均変動率が0.2%となり、前年(0.2%)に続き2年連続の上昇を記録しました。用途別の平均変動率および平均価格は以下の通りです。
- 住宅地: 0.0% (前年▲0.1%から改善。平成8年以来30年ぶりに下落に歯止めがかかる歴史的な下げ止まり)
- 商業地: 0.3% (前年0.4%に続き、3年連続の上昇を維持)
- 工業地: 2.6% (前年2.6%と同水準の、極めて安定した上昇基調を維持)
- 全用途: 0.2% (前年0.2%と同率を維持し、2年連続の上昇)
調査結果の全体的な特徴として、北陸新幹線の福井開業と、それに伴う主要駅周辺の大規模再開発事業の効果が非常に鮮明に現れています。福井駅周辺の商業地が県全体を強力に牽引しているほか、新幹線の新駅やルート沿いとなる敦賀市、あわら市、越前市の駅周辺でも地価上昇が継続しています。住宅地においても、福井市中心部から周辺や郊外への実需の広がり、さらに「新九頭竜橋」の開通効果に支えられた北東部の強い伸びが大きく貢献し、30年ぶりの「下落ストップ」という劇的な転換点をもたらしました。一方で、新幹線インフラの恩恵が及びにくい奥越エリア(大野市や勝山市)などの地方部では依然として下落傾向を脱し切れておらず、需要が集中する都市部・新幹線沿線と地方郊外との二極化・格差が明確に現れる結果となっています。
3. 用途別の詳細および上位市区町村・特定エリア動向
■ 住宅地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 福井市宝永3丁目1516番 「福井-18」 (96,400円/㎡、28年連続県内1位)
- 福井市文京3丁目1202番1外 「福井-17」 (87,800円/㎡)
- 福井市二の宮3丁目702番外 「福井-23」 (86,800円/㎡)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- あわら市自由ヶ丘2丁目2105番 「あわら-5」 (6.4%、6年連続上昇)
- 福井市城東1丁目519番 「福井-37」 (4.3%、6年連続上昇)
- 福井市上野本町2丁目805番 「福井-34」 (3.0%、3年連続上昇)
- 主な変化と特徴(人気エリア・高級住宅街の動向): 住宅地は、福井市中心部のブランドエリアや交通利便性の向上した地域、周辺都市の健闘が光ります。県内最高価格地点となったのは、福井駅に近く昔から格式高い高級住宅街として知られる「福井市宝永3丁目」で、96,400円/㎡(前年比+1.5%)を記録してトップを守り抜きました。 また、上昇率では温泉街に近い居住エリアである「あわら市自由ヶ丘2丁目」が+6.4%という圧倒的な伸びを見せて県内1位となったほか、福井駅東側の利便性に優れた「福井市城東1丁目」が+4.3%、新九頭竜橋の開通によるアクセス改善が今なお地価を押し上げる北東部の「福井市上野本町2丁目」が+3.0%と、実需に基づいた高い上昇率を記録する地点が目立っています。市町別平均変動率で見ても、永平寺町(平均+2.4%)や敦賀市(平均+1.3%)、鯖江市(平均+0.7%)がプラスをしっかりと維持しています。 その一方で、中心部から外れた内陸の山間部や地方圏では依然として厳しい二極化が続いています。住宅地の市町別平均変動率で最も下落が大きかったのは大野市(平均▲3.6%)と勝山市(平均▲2.6%)で、個別地点でも「大野市美川町(大野-1)」が▲3.7%、「大野市国時町(大野-2)」が▲3.4%、「勝山市芳野町2丁目(勝山-1)」が▲2.9%を記録するなど、人口減少と需要減退による厳しい地価トレンドを脱し切れていません。
■ 商業地
- 平均価格上位地点(抜粋):
- 福井市中央1丁目1824番外 「福井5-3」 (454,000円/㎡、4年連続1位)
- 福井市中央1丁目119番 「福井5-2」 (430,000円/㎡)
- 福井市大手2丁目2002番 「福井5-1」 (408,000円/㎡)
- 上昇率上位地点(抜粋):
- 福井市大手2丁目2002番 「福井5-1」 (6.0%、4年連続上昇)
- 福井市大手2丁目2910番外 「福井5-16」 (5.7%)
- 福井市中央1丁目1824番外 「福井5-3」 (5.1%、3年連続上昇)
- 主な変化と特徴(注目エリアごとの動向): 商業地においては、北陸新幹線開業に合わせた駅前周辺の「再開発事業」が地価を強力に底上げする最大の要因となっています。最高価格地点は、福井駅西口正面の超一等地である「福井市中央1丁目(山口第一ビル外)」が454,000円/㎡(前年比+5.1%)で4年連続のトップに君臨しました。 上昇率の面でも、駅前通りのビル街に位置する「福井市大手2丁目(大手ビル)」が+6.0%、同じく大手2丁目の「Has IIビル周辺」が+5.7%と、圧倒的な投資と実需が集まる福井駅西口エリアが上位を独占しています。この勢いは駅前中心部だけでなく、周辺の商業集積地である福井市日之出2丁目(+4.5%)などにも広く波及しています。 福井市(商業地平均+1.9%)の独走体制に続く形で、他の新幹線停車駅を抱える自治体も非常に好調です。敦賀市(本町2丁目:+2.6%)やあわら市(温泉3丁目:+1.2%)などの新駅周辺エリアは引き続きすべて上昇を記録しました。反面、新幹線効果から取り残された内陸部では地方商業地の厳しさが浮き彫りになっており、大野市の中心部に位置する「大野市元町(大野5-1)」が▲4.7%(市町平均でも▲4.7%)と大きな下落を示し、インフラ投資の有無による明暗を鮮明に映し出しています。
■ 工業地
- 平均価格および上昇率(全6地点・すべて福井市内に設定):
- 福井市西開発3丁目207番 「福井9-4」 (53,100円/㎡・変動率+6.2%)
- 福井市和田東1丁目812番外 「福井9-3」 (51,600円/㎡・変動率+4.0%)
- 福井市重立町28字辻52番 「福井9-6」 (23,300円/㎡・変動率+0.9%)
- 福井市若栄町201番 「福井9-5」 (22,500円/㎡・変動率+1.4%)
- 福井市上森田1丁目101番外 「福井9-1」 (17,100円/㎡・変動率+1.2%)
- 福井市石橋町29字北浜73番3外 「福井9-2」 (10,700円/㎡・変動率+1.9%)
- 主な変化と特徴: 福井県内における工業地は、すべて県都である福井市内の計6地点に集約して調査が行われており、その平均変動率は+2.6%と、三用途の中で最も安定した高い上昇トレンドを示しています。 工業地として最高価格および最高上昇率を叩き出したのは、福井インターチェンジや主要幹線道路(バイパス)へのアクセスに極めて優れた東部エリアの「福井市西開発3丁目」で、53,100円/㎡(前年比+6.2%)を記録しました。これに隣接する拠点エリアである「福井市和田東1丁目」も51,600円/㎡(前年比+4.0%)と非常に旺盛な需要を維持しています。 インターネット通販の普及に伴う配送・物流倉庫用地の需要や、企業の製造拠点としての実需が、交通利便性に極めて長けた福井市内の特定の適地に集中しており、すべての工業地調査地点において「下落がゼロ(全地点が上昇)」という結果になっていることが、現在の県内工業地市場の力強い実態を表しています。
あおぎり不動産鑑定
令和8年(2026年)3月18日、国土交通省より最新の「令和8年地価公示」が発表されました。公表されたデータに基づき、全国的な潮流から東京圏の傾向、栃木県内全体の傾向、用途別(住宅地・商業地・工業地)の価格や変動率、市区町村別の動向、および今後の市場見通しについて、事実関係を整理・解説します。
価格判定の基準日は令和8年1月1日です。
- 全国および東京圏の概況令和8年地価公示における全国の平均変動率は、住宅地が2.1%、商業地が4.3%、工業地が4.9%の上湯となりました。また、東京圏においては住宅地が4.5%、商業地が9.3%、工業地が6.8%の上昇を示しています。全国・東京圏ともにすべての用途において、前年に続き堅調な上昇基調が維持されている状況です。
- 栃木県全体の動向 栃木県内における令和8年1月1日時点の地価公示(調査実施466地点)では、県全体の全用途平均変動率が0.1%となり、前年の▲0.1%から上昇に転じ、平成4年以来34年ぶりにプラスを記録しました。用途別の平均変動率および平均価格は以下の通りです。
住宅地: ▲0.2% (前年▲0.3%から下落率が縮小・平成5年から34年連続下落)
商業地: 0.2% (前年の横ばい0.0%から上昇に転じ、平成4年以来34年ぶりに上昇)
工業地: 3.6% (前年3.3%から上昇率が拡大・5年連続上昇)
全用途: 0.1% (前年▲0.1%から上昇に転じ、平成4年以来34年ぶりに上昇) 調査結果の全体的な特徴として、宇都宮駅周辺の再開発やLRT(次世代型路面電車)沿線地域の大幅な地価上昇、インバウンドをはじめとする観光需要に沸く日光エリアの伸長が県全体を強力に牽引しています。また、工業地においては北関東自動車道や東北自動車道IC周辺地域での旺盛な物流・製造拠点需要から上昇率が一段と拡大しました。住宅地は依然として下落が続いているものの下落幅は縮小傾向にあり、県全体としては地価の回復・底上げの動きが一段と強まっています。
- 用途別の詳細および上位市区町村・特定エリア動向■ 住宅地
平均価格上位地点(抜粋):
宇都宮市宿郷5丁目9番9 (151,000円/㎡)
宇都宮市中今泉2丁目11番5外 (145,000円/㎡)
宇都宮市元今泉2丁目32番6 (140,000円/㎡)
上昇率上位地点(抜粋):
宇都宮市ゆいの杜4丁目19番14 (7.4%)
宇都宮市陽東8丁目945番16 (4.2%)
宇都宮市陽東5丁目4201番24 (4.0%)
主な変化と特徴(人気エリア・高級住宅街の動向): 住宅地は宇都宮中心部およびLRT沿線エリアの堅調さが際立っています。県内最高価格地点となったのは、宇都宮駅東側の利便性に優れた高級住宅街・商業近接エリアである「宇都宮市宿郷5丁目9番9」で、151,000円/㎡(前年比+2.7%)を記録しました。また、上昇率ではLRTの開業効果が完全に定着した「宇都宮市ゆいの杜4丁目19番14」が+7.4%という高い伸びを見せて県内1位となったほか、「宇都宮市陽東8丁目」や「宇都宮市陽東5丁目」といったLRT停留所至近のエリアでも4%台の極めて高い上昇率を記録する地点が目立っており、居住利便性の向上がそのまま地価に反映されています。市町別平均変動率で見ても、小山市(平均+1.3%)や宇都宮市(平均+1.2%)がプラスを維持しています。 その一方で、中心部から外れた地方・郊外エリアや利便性の劣る地域では依然として厳しい二極化も残っています。住宅地の下落率トップは観光地・温泉街の周辺に位置する「那須塩原市中塩原字時ヶ崎359番10」の▲4.8%となっており、佐野市の郊外(鉢木町:▲4.4%、中町:▲4.0%など)でも厳しい下落トレンドを脱し切れていません。しかし、これら下落傾向の地域(那須烏山市:▲2.7%、茂木町:▲3.2%など)でも下落幅自体は前年より縮小傾向にあり、県全体としては好転の兆しを見せています。
■ 商業地
平均価格上位地点(抜粋):
宇都宮市駅前通り3丁目17番 (530,000円/㎡)
宇都宮市東宿郷1丁目4番1 (433,000円/㎡)
宇都宮市池上町1番3 (327,000円/㎡)
上昇率上位地点(抜粋):
日光市松原町10番6 (6.9%)
日光市中鉢石町904番1外 (6.8%)
宇都宮市陽東4丁目4320番12 (4.4%)
主な変化と特徴(注目エリアごとの動向): 商業地においては、主要駅周辺の再開発・LRT効果に加え、観光需要の復活が反映されています。最高価格地点は、宇都宮駅西口正面の新規地点である「宇都宮市駅前通り3丁目17番」が530,000円/㎡でトップとなりました。一方、上昇率の面で今回県内を驚かせたのがインバウンド需要に沸く日光駅周辺エリアです。東武日光駅近くの「日光市松原町10番6」が+6.9%、「日光市中鉢石町904番1外」が+6.8%の上昇を記録して県内上昇率のトップ2を独占し、日光市全体の商業地平均は+2.6%と大きな伸びをみせています。 これに対して、主要都市部である宇都宮駅東口周辺の東宿郷エリア(東宿郷1丁目:+2.9%)や、LRT沿線の大型商業施設周辺である陽東エリア(陽東4丁目:+4.4%)も非常に旺盛な需要を維持しており、宇都宮市全体の商業地平均は+1.3%と堅調に推移しています。小山市(平均+2.0%)も駅周辺を中心に好調です。反面、需要のミスマッチが続く地方商業地では、那須烏山市中央1丁目や茂木町大字茂木がともに▲3.5%を記録するなど、利便性と観光・開発投資の有無による格差が鮮明になっています。
■ 工業地
平均価格上位地点(抜粋):
宇都宮市川田町字草倉780番6 (45,000円/㎡)
小山市大字犬塚字大丸32番27外 (29,500円/㎡)
宇都宮市平出工業団地41番2 (27,300円/㎡)
上昇率上位地点(抜粋):
鹿沼市さつき町7番3 (6.1%)
小山市大字出井字磯宮浦1200番13外 (6.1%)
小山市大字横倉新田字街道北489番9外 (5.9%)
主な変化と特徴(エリアごとの上昇率の格差): 工業地は県平均で+3.6%と、三用途の中で最も高い上昇率を示し、前年(3.3%)からさらに上昇率が拡大しました。北関東自動車道や東北自動車道のインターチェンジへのアクセスに優れた主要工業団地への旺盛な実需が背景にあります。 特に顕著な伸びを見せたのが、インターチェンジ至近や主要道路沿いに位置する鹿沼市さつき町エリアおよび小山市出井エリアで、ともに+6.1%の急上昇を記録して県内上昇率トップに並びました。また、小山市横倉新田(+5.9%)や真岡市松山町(+5.8%)、芳賀町芳賀台(+5.5%)など、製造業・物流拠点が集積するエリアでも軒並み高い上昇トレンドとなっています。 これに対して、工業地としての最高価格を維持する「宇都宮市川田町(45,000円/㎡)」では、変動率が0.0%(横ばい)にとどまっています。新規の用地需要が、宇都宮中心部近郊の成熟した工業地から、より高速インターへのアクセスがダイレクトで地価が割安な周辺都市(小山・鹿沼・真岡など)の大規模工業・物流団地へと分散・シフトしている傾向が見られ、同じ県内の工業地であっても、立地条件と価格のバランスによる上昇率の格差・選別傾向が生じているのがリアルな実態です。
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