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ゴルフ練習場・レジャー施設の鑑定評価

コラム
ゴルフ練習場・レジャー施設の鑑定評価

ゴルフ練習場、ゴルフ場、レジャー施設、スポーツ施設などは、一般的な住宅地や店舗、事務所とは異なり、土地・建物・工作物・営業収益・将来の転用可能性が複雑に絡み合う特殊な不動産です。

近年は、余暇活動の多様化、物価上昇、屋内型ゴルフ施設やシミュレーター型施設の増加、猛暑・悪天候等の気象リスクなどにより、従来型の屋外ゴルフ練習場を取り巻く市場環境は大きく変化しています。

そのため、ゴルフ練習場やレジャー施設の鑑定評価では、単に「ゴルフ人口が増えているか、減っているか」だけで判断するのではなく、施設の収益力、立地条件、競合状況、施設の老朽化、他用途への転換可能性などを総合的に分析する必要があります。

あおぎり不動産鑑定では、ゴルフ練習場、レジャー施設、老朽化した事業用不動産など、時価評価が難しい特殊不動産について、減損会計・時価会計・M&A・事業承継・担保評価等の目的に応じた不動産鑑定評価に対応しています。


1. 余暇市場の回復と、余暇活動の選別

公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書」各年版によれば、わが国の余暇市場は、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく縮小した後、社会経済活動の正常化に伴い回復基調を示しています。

2020年には、外出自粛、移動制限、イベント・施設利用の制限等により、観光、外食、映画、コンサート等の外出型レジャーが大きな影響を受けました。一方で、動画鑑賞、読書、音楽鑑賞等の在宅型レジャーが上位を占めるようになりました。

もっとも、ゴルフ練習場については、屋外・近距離・個人型レジャーとしての性格を有していたため、コロナ禍においても一定の相対的優位性を有していたと考えられます。

その後、2022年から2023年にかけては、国内観光旅行、外食、ドライブ等の外出型レジャーが回復しました。これにより、消費者の余暇活動の選択肢は再び広がりましたが、一人当たりの平均参加種目数はコロナ禍前の水準には戻っていません。

2024年には、余暇市場全体の金額規模はコロナ禍前を上回る水準まで回復した一方、一人当たり平均参加種目数や平均希望種目数は低下しています。

これは、余暇市場全体としては回復しているものの、個人レベルでは、時間や支出の制約、物価上昇、選択肢の多様化等を背景として、参加する余暇活動が絞り込まれていることを示しています。

つまり、余暇活動は「何でも広く楽しむ」段階から、「本当に価値を感じるものを選ぶ」段階へ移行しているといえます。


2. ゴルフ練習場市場にみられる構造変化

レジャー白書の詳細資料によれば、近年のゴルフ練習場については、参加率や希望率に弱含みの傾向がみられる一方、年間平均費用は上昇しています。

例えば、ゴルフ練習場の参加率は、2022年及び2023年には5.2%でしたが、2024年には4.6%へ低下しています。また、希望率も2022年の7.0%から、2023年は6.0%、2024年は5.3%へと低下しています。

一方、年間平均活動回数は大きく変動しておらず、利用している人については一定の反復利用が維持されていると考えられます。

このことから、ゴルフ練習場市場では、参加者の裾野が広がっているというよりも、既存利用者の継続利用や高単価化によって市場規模を維持している側面があると考えられます。

また、2024年のゴルフ練習場参加人口は前年から減少した一方、市場規模は同水準を維持しているとされています。これは、単純な利用者数の増加ではなく、料金水準の上昇、スクール収入、会員制サービス、屋内型・シミュレーター型施設の高単価化等が市場規模を支えている可能性を示しています。

したがって、現在のゴルフ練習場市場は、需要の量的拡大によって成長する局面から、サービスの高付加価値化によって収益を維持する局面へ移行しつつあると考えられます。


3. 屋外型ゴルフ練習場と屋内型施設の需要分化

従来型のゴルフ練習場は、広い敷地、打席、ネット・支柱、照明設備、駐車場等を備えた屋外型施設を中心として発展してきました。

屋外型施設には、実際の球筋や飛距離感を確認できること、開放感があること、多数の打席を備えられること、自動車で利用しやすいことなどの強みがあります。

一方で、近年は屋内型ゴルフ練習場、インドアゴルフ、シミュレーター型施設が増加しています。これらの施設は、天候や気温に左右されにくく、空調の整った環境で短時間・効率的に練習できる点に特徴があります。

さらに、弾道測定器、スイング解析、レッスン機能、予約システム、会員制サービス等を備えることで、単なる練習場所ではなく、効率的に上達を実感できる高付加価値型サービスとしての性格を強めています。

そのため、ゴルフ練習場市場では、屋外型の大規模・郊外型施設と、屋内型の都市近接・高付加価値型施設との間で需要の分化が進んでいます。

評価に当たっては、対象施設がどのような需要層を対象としているのか、競合施設と比較してどのような優位性を有しているのかを確認することが重要です。


4. ゴルフ施設の不動産価値は、営業収益だけでは判断できない

ゴルフ練習場は、営業施設であると同時に、まとまった規模の土地、建物、工作物、駐車場等から構成される事業用不動産です。

そのため、価格形成は、ゴルフ練習場としての継続的な収益性だけでなく、土地としての代替的利用可能性にも大きく左右されます。

例えば、都市近郊や幹線道路沿いに所在するゴルフ練習場では、住宅地、商業施設用地、物流施設用地、福祉施設用地、資材置場、太陽光発電施設用地等への転換可能性が価格形成上重要となる場合があります。

周辺地域において宅地需要、商業需要又は物流需要が強い場合には、現況のゴルフ練習場としての収益性だけでなく、他用途転換を前提とした土地需要が価格を下支えすることもあります。

一方で、市街化調整区域、農地、山林、造成困難地、接道条件に劣る土地等を含む場合には、用途転換には法的・物理的な制約が伴います。

このような場合、単に「広い土地である」という理由だけで高い転用価値を見込むことは適切ではありません。

また、太陽光発電施設等への転用を検討する場合でも、日照条件、接道、系統連系、造成費、撤去費、地域規制、近隣関係等を個別に検討する必要があります。


5. 減損会計・時価会計における評価上の留意点

ゴルフ練習場やゴルフ施設は、減損会計、時価会計、M&A、事業承継、金融機関の担保評価、会社決算上の資産評価等において、時価の把握が問題となることがあります。

特に減損会計目的の評価では、営業を継続する場合の使用価値だけでなく、将来的な事業撤退や用途転換を想定した正味売却価額の検討が重要となります。

その際には、以下のような点を精査する必要があります。

・現況のゴルフ練習場として営業を継続できるか
・施設の老朽化や設備更新負担はどの程度か
・防球ネット、支柱、照明設備、舗装等の撤去費用はどの程度か
・他用途への転換に法的・物理的制約はないか
・周辺地域に代替需要者が存在するか
・競合施設と比較して収益力を維持できるか
・屋内型施設やシミュレーター型施設との差別化が可能か

このように、特殊不動産の評価では、表面的な収支や土地面積だけでなく、事業性、法規制、物理的状態、撤去費、転用可能性、市場需要を総合的に分析することが不可欠です。


6. 特殊不動産の鑑定評価には、精緻な市場分析が必要です

ゴルフ練習場市場は、参加人口の減少、余暇活動の多様化、利用単価の上昇、屋内型施設への需要シフト、土地の代替利用可能性が同時に存在する複合的な市場環境にあります。

そのため、ゴルフ練習場の価格形成に対して、一般的要因が一律に上昇又は下落のいずれかに作用すると判断することはできません。

重要なのは、対象不動産が所在する商圏において、どのような需要が存在するのか、施設の競争力はどの程度か、現況用途を継続することが合理的か、他用途転換の可能性があるかを具体的に分析することです。

特に、ゴルフ練習場、ゴルフ場、ホテル、旅館、工場、倉庫、商業施設、レジャー施設、遊休不動産、老朽化した事業用建物等は、一般的な土地建物とは異なり、時価の把握が難しい特殊不動産です。

このような不動産については、単純な路線価や固定資産税評価額、近隣の売買事例だけでは、適正な価値を把握できない場合があります。

あおぎり不動産鑑定では、特殊不動産の鑑定評価において、対象不動産の個別性を丁寧に把握し、市場分析、収益性分析、法規制、物理的状態、代替利用可能性を踏まえた精緻な価値判断を行います。

ゴルフ練習場、ゴルフ場、レジャー施設、老朽化した事業用不動産、減損会計・時価会計目的の不動産評価でお困りの場合は、ぜひ一度ご相談ください。


対応可能な評価目的の例

・減損会計における不動産の時価把握
・時価会計、決算目的の資産評価
・M&A、事業承継に伴う不動産評価
・金融機関の担保評価、融資検討資料
・遊休不動産、低収益不動産の売却検討
・事業撤退、施設閉鎖、用途転換の検討
・ゴルフ練習場、レジャー施設、特殊建物の鑑定評価


主な参考資料

公益財団法人日本生産性本部『レジャー白書2021』~『レジャー白書2025』
ゴルフ特信「レジャー白書2025」関連資料等

※本記事は、一般的な市場動向及び不動産鑑定評価上の考え方を説明したものであり、個別不動産の評価額を示すものではありません。実際の鑑定評価に当たっては、対象不動産の所在、規模、法規制、収益状況、物理的状態、権利関係、周辺市場等を個別に調査・分析する必要があります。

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