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千曲市の食品スーパー・小売店舗の市場環境

不動産市況
千曲市の食品スーパー・小売店舗の市場環境

-幹線道路沿いの出店と生活利便型店舗の競合関係 –

千曲市は、長野県北信地域に位置し、県庁所在地である長野市の南側に接する都市です。長野市中心部への通勤圏としての性格を持つ一方、善光寺平の南部に位置し、戸倉上山田温泉などの観光資源も有しています。

近年、千曲市内では幹線道路沿いを中心に、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストア、飲食店などの生活利便型店舗が集積しており、日常的な買い回り需要をめぐる競争が見られます。

今回は、食品スーパーを中心とする小売業の動向と、千曲市における店舗立地の特徴について整理してみます。

1 食品スーパーは生活必需型の業態である

食品スーパーは、日常生活に欠かせない食料品を取り扱う業態であり、一定の底堅い需要が見込まれる業種です。

景気の変動によって高額品の購入が控えられることはあっても、食料品や日用品の需要が大きく消えることはありません。そのため、食品スーパーは小売業の中でも比較的安定した需要を有する業態といえます。

一方で、近年の食品スーパー業界は必ずしも楽な経営環境ではありません。原材料価格、物流費、人件費、光熱費等の上昇により、店舗運営コストは上がっています。また、ドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニエンスストアなども食品の取り扱いを拡大しており、食品スーパーとの競合関係は強まっています。

特に地方都市では、商圏人口が限られる中で複数の小売店舗が競合するため、店舗ごとの集客力、品揃え、価格競争力、駐車場の広さ、アクセスのしやすさが重要になります。

2 全国的にはショッピングセンター市場は回復基調

全国のショッピングセンター市場を見ると、近年は回復基調が見られます。資料では、日本ショッピングセンター協会のSC販売統計調査報告を引用し、2025年の既存SC売上高伸長率が全体で前年比プラスとなり、2021年以降、5年連続で前年を上回ったと整理されています。

売上増加の要因としては、販促施策、館内・近隣イベントの増加、テナント入れ替え、改装効果などが挙げられています。

ただし、地方都市のショッピングセンターや郊外型小売店舗については、全国的な回復傾向をそのまま当てはめることはできません。地域ごとに人口動態、商圏規模、競合店舗の状況、車利用のしやすさ、周辺住宅地の成熟度などが異なるためです。

特に長野県内の地方都市では、幹線道路沿いに自動車利用を前提とした店舗が多く、食品スーパー、ドラッグストア、ロードサイド型飲食店、コンビニエンスストアが近接して立地することが多く見られます。

そのため、個別の店舗評価においては、単に「小売業は堅調」「食品スーパーは生活必需型で安定している」という一般論だけでなく、商圏人口、競合店舗、駐車場、視認性、道路アクセスを具体的に見る必要があります。

3 長野県内の大型小売店売上高の動向

資料によると、長野県内の大型小売店売上高については、令和8年4月時点で、総売上高が前年同月比プラス0.6%となっています。食料品については、販売価格の上昇などを背景に前年同月比プラス0.7%となっており、比較的堅調な推移が確認されています。

一方、衣料品は前年同月比マイナスとなっており、小売業の中でも業種によって動向に差があることが分かります。

この点からも、食品スーパーを中心とする食料品小売業は、生活必需品を取り扱うという性格から一定の需要を維持しやすい一方、物価上昇、人件費上昇、競合激化の影響を受けやすい業態であるといえます。

売上高が増加している場合でも、それが販売数量の増加によるものなのか、価格上昇によるものなのかは慎重に見る必要があります。売上が増えていても、利益率が低下している場合や、光熱費・人件費・物流費の上昇によって収益性が悪化している場合もあります。

したがって、食品スーパーの不動産を評価する場合には、売上高だけでなく、店舗の立地競争力、商圏内でのポジション、建物の老朽化、駐車場の使いやすさ、将来的なテナント需要も確認する必要があります。

4 千曲市の飲食料品小売業の規模

資料では、経済センサス活動調査に基づき、千曲市、長野市、上田市、須坂市、中野市、坂城町について、産業分類「58 飲食料品小売業」の事業所数、従業者数、年間商品販売額、売場面積などが比較されています。

千曲市の飲食料品小売業は、事業所数422、従業者数3,014人、年間商品販売額50,421百万円、売場面積76,102㎡とされています。

比較対象の中では、長野市が事業所数2,896、年間商品販売額444,806百万円と圧倒的に大きく、上田市も年間商品販売額167,033百万円と規模が大きいです。これに対し、千曲市は長野市・上田市ほどの市場規模ではありませんが、中野市や須坂市と近い水準にあり、一定の食品小売市場を形成しているといえます。

また、千曲市の1事業所当たり販売額は119百万円、従業者1人当たり販売額は17百万円、売場1㎡当たり販売額は0.66百万円と整理されています。

この数字から見ると、千曲市は長野市ほどの大規模市場ではないものの、日常生活に必要な食品小売需要が一定程度存在しており、周辺住民の買い回り需要を支える地域市場が形成されていると考えられます。

5 千曲市は長野市への通勤圏であり、ベッドタウン性を有する

千曲市の小売店舗を考えるうえで重要なのは、同市が長野市の南側に位置し、長野市中心部への通勤圏にあるという点です。

資料でも、千曲市は長野市中心部への通勤圏であり、業務・観光両面の需要が比較的堅調であることから、周辺市町村を含めた広域的な生活・就業圏を形成していると整理されています。

また、千曲市新田、鋳物師屋、寂蒔周辺などでは、近年、分譲住宅地の開発が進み、住宅地としての熟成が進んでいるとされています。こうした住宅地の拡大や居住人口の増加は、食品スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどの日常生活関連サービスの需要を支える要因になります。

食品スーパーは、地域住民の日常的な買い回り需要を基礎としながら、幹線道路を通行する車利用者の立ち寄り需要も取り込む業態です。そのため、周辺住宅地の人口、幹線道路の交通量、店舗への入りやすさ、駐車場の広さ、視認性が競争力に大きく影響します。

6 千曲市内では幹線道路沿いの競合が重要

千曲市内では、国道18号線、県道403号線、市道1-211号線などの幹線道路沿いに小売店舗が集積しています。

資料では、対象エリア周辺において、既に複数の食品スーパーや生活利便型店舗が立地しており、商圏内における顧客獲得競争が一定程度認められると整理されています。

主な競合店舗としては、食品スーパー、スーパーセンター、ドラッグストア、コンビニエンスストアが挙げられています。食品スーパー同士の競合だけでなく、ドラッグストアやコンビニも、日常的な食品・日用品需要の一部を取り込んでいる点に注意が必要です。

特に近年のドラッグストアは、医薬品だけでなく、食品、飲料、日用品、冷凍食品などの取り扱いを拡大しており、食品スーパーに対する補完的競合、場合によっては直接的競合として機能することがあります。

コンビニエンスストアも、弁当、惣菜、飲料、冷凍食品、日用品などを取り扱っており、特に単身者、高齢者、短時間で買い物を済ませたい需要者にとっては、食品スーパーの代替となる場面があります。

このように、千曲市内の食品スーパー市場を考える場合には、同業スーパーだけではなく、ドラッグストアやコンビニを含めた生活利便型店舗全体の競合状況を見る必要があります。

7 競合店舗を見るポイント

食品スーパーの競争力を考えるうえで、重要なポイントは次のとおりです。

まず、幹線道路への接近性です。車利用が中心となる地方都市では、店舗がどの道路に面しているか、右折入庫しやすいか、交通量があるか、道路から見つけやすいかが重要です。

次に、駐車場です。食品スーパーでは、まとめ買い需要が多いため、駐車場の広さ、停めやすさ、出入りのしやすさが大きな競争力になります。駐車場が狭い、出入口が分かりにくい、交通量の多い道路に面していて出入りしにくい場合には、顧客が競合店に流れる可能性があります。

第三に、店舗の規模と品揃えです。広い売場面積を持つ店舗は、食品、惣菜、日用品などをまとめて購入できるため、集客力を持ちやすいです。一方、小規模店舗でも、近隣高齢者や徒歩圏需要を取り込める場合があります。

第四に、商圏内の住宅地との関係です。周辺に分譲住宅地や集合住宅が多い場合、日常的な買い物需要が期待できます。特に高齢者が多い地域では、近距離で買い物できる店舗に一定の需要が残る可能性があります。

第五に、ブランド力です。地域で認知度の高い食品スーパーや、価格競争力・品揃えに強みのある店舗は、多少距離があっても顧客を引きつけることがあります。

8 千曲市の食品スーパー市場は「一定の需要」と「競争激化」が併存する

千曲市の食品スーパー市場は、生活必需品を扱うため一定の需要が見込まれる一方、競争は決して弱くありません。

資料上も、対象エリア周辺には食品スーパー、スーパーセンター、ドラッグストア、コンビニが複数立地しており、競合度の高い店舗も見られます。

千曲市は長野市のベッドタウン的性格を有し、住宅地の開発も進んでいることから、日常生活需要は一定程度見込まれます。しかし、消費者は車で複数の店舗を比較しながら買い物をすることができるため、店舗の立地や品揃え、価格、駐車場、ブランド力によって顧客が動きやすい市場でもあります。

特に大型食品スーパーやスーパーセンターは、広い駐車場、豊富な品揃え、価格競争力を武器に、広域から顧客を集めることができます。その一方で、近隣密着型の小型店舗は、高齢者や徒歩・自転車利用者、短時間買い物需要を取り込むことで、一定の存在意義を持つことがあります。

つまり、千曲市の食品スーパー市場は、一律に「強い」「弱い」と評価するのではなく、店舗ごとの商圏、立地、規模、駐車場、競合関係を個別に見る必要があります。

9 不動産として見る食品スーパーの評価ポイント

食品スーパーを不動産として見る場合、単に営業しているかどうかだけでは不十分です。

評価上は、次のような点が重要になります。

周辺人口と世帯数

幹線道路からの視認性

駐車場の規模と出入りのしやすさ

競合店舗との距離

食品スーパーとしての売場面積

建物の築年数と老朽化

荷捌きスペースの有無

冷蔵・冷凍設備への対応

将来的な改装・転用可能性

テナント撤退時の再利用可能性

特に食品スーパーは、建物の用途がやや特殊です。売場、バックヤード、冷蔵・冷凍設備、荷捌きスペース、駐車場、看板、搬入口など、一般的な小売店舗とは異なる設備や配置が必要になります。

そのため、仮に現テナントが退去した場合、同じ食品スーパーとして再利用できるのか、ドラッグストアや物販店舗に転用できるのか、あるいは大規模な改修が必要になるのかを検討する必要があります。

商圏内で食品スーパー需要が一定程度あっても、建物が老朽化している、駐車場が狭い、出入口が悪い、競合店に比べて視認性が劣るといった場合には、不動産としての競争力は弱くなります。

10 まとめ

千曲市は、長野市の南側に位置し、長野市への通勤圏、観光地へのアクセス、住宅地の拡大などを背景に、一定の生活利便需要を有する地域です。

市内では、国道18号線、県道403号線、市道1-211号線などの幹線道路沿いに、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストア、飲食店などが集積しており、日常生活関連サービスの立地が進んでいます。

食品スーパーは、生活必需品を取り扱うため一定の需要が見込まれる一方、近年はドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニエンスストアとの競合も強まっています。千曲市内でも、複数の食品スーパーや生活利便型店舗が存在しており、商圏内での顧客獲得競争は一定程度認められます。

不動産として食品スーパーを評価する場合には、単に「スーパーだから安定している」と見るのではなく、商圏人口、競合店舗、道路アクセス、駐車場、視認性、建物の老朽化、改装の必要性、テナント代替可能性などを総合的に確認することが重要です。

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